個人でも買える投資先は債券、不動産、株式
僕らのような個人でも買える投資先は、主に債券、不動産、株式の3つがあります。債券投資は「他人にお金を貸して利息収入を受け取る」方法です。
国にお金を貸す「国債」や、会社にお金を貸す「社債」などがあります。2024年5月現在、個人向け国債の利回り(変動10年)は税引き後で0.5%弱しかありません。社債も安全性が高いものだと年利0.5%くらいで、そこまで大きな利回りを得られる印象はありません。日本銀行が利上げに踏み切って、金利が上がるまでは、債券投資で年利3%を稼ぐのは難しい気がします。
不動産投資は「不動産を所有して、他人に貸し出すことで家賃収入を受け取る」方法です。
不動産投資にはさまざまなスキームがあります。自分で丸ごと物件を保有するものもあれば、組合に出資して共同保有する方法もあります。すべては書ききれませんので、ここでは、もっとも裾野が広そうなREIT(不動産投資信託)で考えてみましょう。
証券口座さえ開けば、オフィスビル特化型や住居特化型、商業施設特化型、物流施設特化型、ホテル特化型など、さまざまなREITに投資することができます。どれがよいかは物件の質と、市場価格でマチマチです。
REITには分配金利回り(税引前)が4%を超える投資商品もあります。たとえば、2024年5月22日時点で、REIT指数に連動する投信「NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信<1343>」は、過去1年間の分配金利回り(税引前)が4%を超えています。所得税を払っても、3%以上の分配金を受け取れそうです。分配金の利回りが高く、かつ、安定した分配金が受け取れるREITを見つけたら、投資してみるとよさそうです。
株式投資では「株式を所有して、配当収入を受け取る」ことができます。
株式投資は、不動産投資よりもバラエティーに富んでいます。不動産投資では「物件の種類」や「立地」で投資を検討することになりますが、株式投資では、「どんなビジネスに投資をするか」「どんな経営陣に資金を委ねるか」を検討します。不動産投資も奥が深いですが、株式投資は、さらに幅が広いです。
不動産投資と同じように、証券口座さえ開けば株式にも投資できます。自分で有望なビジネスを目利きする自信がない場合、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といった株式指数と連動する上場投資信託(ETF)に投資するのがよいでしょう。
2024年5月22日時点、TOPIXに連動するタイプの投信「NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信<1306>」は、過去1年間の分配金利回り(税引前)が1.8%弱です。
いまは分配金利回り1.8%と年利3%には届かなくても、株式投資では投資先企業が分配金として支払わなかった利益を成長投資にお金を回しているため、将来的に分配金の増加が期待できます。TOPIX連動型の投信が分配利回りが低くても買われているのは、将来的な収入増を見越してのものだと言えるでしょう。
何を重視するか?で適した投資先も変わる
画像の図をご覧ください。これは、REIT指数連動型ETF<1343>とTOPIX連動型ETF<1306>の分配金の推移です。REIT指数連動型の投信は、分配金が物価上昇(賃料上昇)と連動して緩やかに増えています。一方、TOPIX連動型の投信は、成長投資による業績成長や、株主還元の充実によって、REIT指数連動型よりも早いペースで分配金が増えています。10年前に分配金利回り2%で投資していたら、今では分配金利回りが5%になっていたでしょう。
このように、不動産投資と株式投資では「いますぐ受け取れる分配金」と「将来的に受け取れる分配金」が違います。過去の経験則で考えると、不動産投資は「目先の分配金収入を重視する人」に向いた投資商品で、逆に株式投資は「遠い将来の分配金収入(成長性)を重視する人」に向いた投資商品と言えるのではないでしょうか。
ひとことに「年率3%を目指す」と言っても、アプローチはさまざまです。初心者でも手を出しやすいのは、本記事でも取り上げた「不動産投資信託(REIT)」と「株式指数連動型の上場投資信託(ETF)」の2つです。興味のある方は、詳しく調べてみてはいかがでしょうか。
参考
- 野村アセットマネジメントHP, “NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信”
- 野村アセットマネジメントHP, “NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信”