仕事・給与

2028年からパートの雇用保険加入者が増える?メリットとデメリットは?

5月10日の国会で、パートやアルバイトなどの短時間労働者の多くの方が雇用保険に加入できる法案が可決しました。法案施行は2028年10月と先の話にはなりますが、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。今回は短時間労働者への雇用保険適用拡大について解説します。

川手 康義

執筆者:川手 康義

ファイナンシャルプランナー / サラリーマン家庭を守るお金術ガイド

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<目次>

週10時間以上のパートにも雇用保険が適用されます

2024年5月10日にパートやアルバイトなどの短時間労働者の多くに雇用保険を適用拡大する法案が可決されました。現行の制度では、短時間労働者のうち週20時間以上働く人のみが雇用保険の対象ですが、新しい法案では適用範囲を週10時間以上働く方に広げることになります。

法案可決の背景には、働き方の多様化による非正規雇用の増加があります。それに伴い、多くの短時間労働者は経済的に不安定な状況にあるため、雇用保険の適用拡大によって経済基盤を安定化させたい狙いがあります。
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週20時間未満労働者の推移(出典:厚生労働省 第195回職業安定分科会雇用保険部会資料)

厚生労働省の資料によると、現在週20時間未満の短時間労働者は約734万人であり、新しい法案では、週10時間以上働く約506万人の多くが、新たに雇用保険の対象になると考えられます。

雇用保険の拡大によるメリットとは?

雇用保険は、失業した場合や育児・介護休業を取る場合に、一定の給付を受けることができる制度です。今回の適用拡大により、新たに雇用保険に加入する短時間労働者には以下のようなメリットがあります。
 
  • 失業等給付:失業した際に一定期間、生活費を補助する給付を受けることができます。
  • 育児・介護休業給付:出産や育児、介護を理由に仕事を休む際、収入の一部を補償する給付が受けられます。
  • 教育訓練給付:スキルアップや再就職のための教育訓練を受ける際に、費用の一部が補助されます。
 
特に失業等給付は失職した際の経済的基盤となる給付であり、失業保険の俗名で呼ばれることは、皆さんもよくご存じなのではないでしょうか。

雇用保険の拡大によるデメリットとは?

雇用保険の適用拡大によるデメリットは、社会保険料の負担増が挙げられます。短時間労働者が新たに雇用保険に加入することで、給与から雇用保険料が控除されることになり、例えば、年収100万円の一般の事業に勤める方の場合だと、2024年度の雇用保険料率は労働者負担が0.6%ですので、年間で約6000円の保険料がかかります。これは月々にすると約500円の負担となります。

また企業側にとっては、短時間労働者の雇用保険手続きを新たに行う必要があり、事務作業の負担が増えることが予想されます。

まとめ

いかがでしたでしょうか? 今回は5月10日の国会で可決された短時間労働者への雇用保険適用拡大について解説しました。新しい法案により、より多くの短時間労働者が雇用保険に加入することができ、経済的な基盤が安定することになります。また働き方の多様化に対応した労働環境が整備されることから、企業や社会全体にとっても大きなメリットではないでしょうか。

施行が2028年10月と時間があるのは、短時間労働者に対する雇用保険制度適用の意義や重要性、メリット等の周知を行う期間とされており、企業、労働者ともに雇用保険に関心を持ち、今から準備を進めていくことが大切ではないでしょうか。

〈参考〉
厚生労働省 職業安定分科会雇用保険部会(第195回)
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