出産時、腹が立った夫の“迷言”
「今回の騒動、私も同じように思いました。でもうちの夫も私の出産時に不適切な言動をとっていたので、やはり男には寄り添いきれないことなのかもしれないとも感じましたね」アミさん(39歳)はそう言って苦笑した。6歳と3歳の子がいるが、第1子出産のときには陣痛で苦しむ彼女に、夫は「痛いと思うから痛いんだよ」と迷言を吐いた。
「痛いと思わなくたって痛いんだよと思わず頭をはたいてしまいました(笑)。助産師さんまで苦笑していましたね。立ち会い出産をする予定だったけど、結局、途中で出て行ってもらったんです。いないほうがずっと集中できた」
夫にはあとから助産師さんたちに諭してもらったが、あまりピンときている様子はなかったそうだ。
「子どもはとてもかわいがっています。目の前に子どもがいるからリアルに対応できるんだと思うけど、妊娠中や出産時についてはやはり想像が及ばないところもあるんでしょう。でも1度は経験したのだから第2子のときはもうちょっときちんと対応してくれると思っていたんです」
無痛分娩に対する無神経な発言にも失望
3年前の第2子のとき、アミさんは無痛分娩を選択肢に入れた。すると夫はこともあろうに、「どうして?」と疑問を投げかけてきた。「出産って痛みを伴うから子どもがかわいく思えるわけでしょ? 無痛で楽しようっておかしいんじゃないの。しかもよけいなお金がかかるじゃん」
その言葉がどれほどアミさんを傷つけたことか。彼女は「勉強してちょうだい」と一言ですませた。怒りが大きすぎて夫の顔も見たくないと思ってしまったのだ。
「翌日、夫は『麻酔によってきみの健康に不安が出ると思うんだよね』と論調を変えてきました。そういうことなら話ができるかなと思ったんですが、夫は無痛分娩をまったく痛みがないものととらえている。
そうじゃないんだ、硬膜外麻酔という無痛分娩に多く使われる麻酔法で、下半身の感覚をあえて残して、ちゃんといきんで産むんだと説明しました。そんなのちょっと調べればわかるでしょと言うと、『でも楽して産むために、お金が別にかかるんだよ』って。出産がどれほど大変なのかわかってない、第1子のとき途中で追い出さなければよかったかなと後悔しましたが……」
第2子のときはコロナ禍で、立ち会いはできなかった。夫は最後まで無痛分娩に反対していたが、アミさんはそれを選択した。体力を使いすぎずに出産でき、産後の回復も早いと感じたというが、これはあくまでも彼女個人の感想である。
「今回の生田さんの発言を擁護はしないし、旦那様におねだりという言葉は気持ち悪いと思う。でもこういうことだよ、男にとって出産はやっぱり他人事なんだよというのがわかっただけでもいいのかもしれないと反面教師的に感じましたね」
男女の関係、もしくは他人との関係において、どう頑張っても理解できないことはある。感覚的にわからないことも多々あるだろう。ただ、わからないならわからないなりの対応があるはず。出産という夫婦にとって大事なできごとで、ふたりの気持ちが離れるようなことがあっては元も子もない。
※「無痛分娩 Q&A」(日本産科麻酔学会)
※「令和2(2020)年 医療施設調査・病院報告の概況」(厚生労働省)