配属ガチャ→新卒1年で辞めた33歳の後悔
「私もかつて、新卒で入った会社を1年足らずで辞めたんです。配属先が合わなかったのが原因で、結局、大学の恩師の手伝いをしながら大学院に進みました」カナさん(33歳)は、10年前をそう振り返る。現在も大学で教鞭をとるかたわら、研究所の職員として自らの研究も続けている。経済的には決して楽ではないが、「好きなことをしている」実感があるという。
「ただ、かつての会社で親しくなった同期に聞くと、私と同じように配属ガチャで苦しんだ彼女、3年目に希望の部署に異動になって、毎日がものすごく楽しいって。私ももうちょっと我慢していたら、そうなれたかもしれない。ある先輩も最初の部署で頑張って5年後に昇進、その後、大きなチャンスを与えられて成功、今は社内でも若手のホープとして期待されているそうです。ガチガチの社風だと思っていたけど、そんなことはなかった。頑張った人は認めてもらえる。私はそこまで至らないうちに辞めてしまったんですよね」
そこは後悔しているとカナさんは言う。今もあの会社にいたら、どうなっていただろうかと想像すると悔しくてたまらない夜もある。
あの頃の私は、あれ以上頑張れなかった
「ただ、あの時点で私はあれ以上頑張れなかった。頑張る量って個人差が大きいと思うんです。我慢の限界の個人差も大きい。私は本当に好きなこと以外にはキャパが狭いタイプなんでしょうね」だが、この先何があるかわからないのが人生だ。いくつになってもチャンスもリスクも降ってくる。何をどうキャッチして生かしていくかは自分の裁量となる。あの時点で頑張れないと思ったのなら、後悔している暇はない。
「そうですね。みんなそれぞれの道でやっていくしかない。辞めたことが問題ではなく、その後どうするかが重要なんでしょうね」
仕事に何を求めるのか。人は一度仕事に就いてみて初めて、リアルにそれを自問するようになるのかもしれない。