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4000万人が使っている日本製メッセージアプリ「+メッセージ」。LINEと似ているが大きな違いも

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社が提供する、独自のメッセージアプリ「+メッセージ」をご存知でしょうか。日本での利用者が最も多い「LINE」と非常に似たサービスにも見えますが、実は全くの別物です。+メッセージとは一体どのようなサービスなのか、解説します。

佐野 正弘

執筆者:佐野 正弘

携帯電話・スマートフォンガイド

携帯3社が2018年に提供を開始したメッセージアプリ

スマートフォンでテキストや画像による「スタンプ」を送り合ってコミュニケーションする、いわゆるメッセージアプリ。日本で最も多く利用されているメッセージアプリといえば、LINEヤフーの「LINE」が知られるところですが、世の中には他にも多くのメッセージアプリが存在しています。

とりわけ日本において、LINEに続いて多くの人のスマートフォンに入っているのが「+メッセージ(プラスメッセージ)」ではないかと思われます。これはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯3社が提供しているメッセージアプリで、3社が販売するスマートフォンにプリインストールされていることも多いことから利用者数は非常に多く、2024年2月6日に4000万人を突破しています。
+メッセージ

「+メッセージ」は携帯3社が提供するメッセージアプリで、4000万人以上の利用者を抱えるなど、実は利用者の規模がかなり大きいサービスでもある

一方で、LINEのように日常的に+メッセージを利用してコミュニケーションをしているという人は、あまり多くないというのが正直なところではないでしょうか。そもそも+メッセージがサービスを開始したのは2018年からで、2011年から提供されていたLINEと比べかなり新しいサービスでもあることから、LINEほど利用が広がっていないのが実状かと思います。

ただ+メッセージは、LINEと見た目こそ似ているものの、実は全く別物のサービスだということは意外と知らない人が多いのではないでしょうか。そこで改めて、+メッセージがどのようなサービスなのかを解説したいと思います。
+メッセージ

+メッセージは見た目こそ「LINE」に似ているが、実はLINEとは全く異なる仕組みのサービスだ

 

見た目はLINEだが中身は「SMS」の発展形

なぜ+メッセージがLINEと全く違うのかというと、それは使われている技術が根本的に違うからです。LINEなどメッセージアプリの多くは、認証などに携帯電話番号を用いているものの、テキストや画像の送受信などは基本的にインターネットの技術を用いています。

ですが+メッセージは、インターネットではなく「RCS」(Rich Communication Services)と呼ばれる技術を用いたサービスなのです。RCSとは、電話番号を通じて短いメッセージのやり取りをする「SMS」(Short Message Service)の後継となる技術であり、携帯電話番号を通じ、携帯電話回線のデータ通信を用いてメッセージや画像、動画などのやり取りをできるようにするものです。
+メッセージ

+メッセージはSMSの後継となる「RCS」という技術を用いたサービスであり、インターネットではなく携帯電話回線のデータ通信を用いてメッセージの送受信を実現している

それゆえ+メッセージは、携帯電話会社でないと提供できないSMSの発展形というべきサービスで、SMSと同様に相手の電話番号さえ分かればメッセージの送受信が可能となっています。ただメッセージの送受信に音声回線ではなくデータ通信を用いることから、メッセージを送る際にかかるのは、LINEなどと同様データ通信にかかる料金のみ。SMSのように送信時にお金が必ずかかる訳ではないので、安心してメッセージのやり取りができるのはメリットといえるでしょう。

このように、技術や仕組みがLINEとは全く異なる+メッセージですが、利用できるサービスはLINEなどと大きくは変わりません。それゆえ特定の相手とテキストや画像、動画を送り合ってコミュニケーションができるほか、グループを作って会話をすることも可能。もちろんスタンプの送信やストアでの追加も可能ですし、携帯各社のサービスを中心とした公式アカウントも提供されています。

ただ一方で、携帯電話のネットワークを軸としたサービスということもあって、音声通話は通常の電話アプリで電話をかける形になる、+メッセージを使っていない人にメッセージを送る際には下位規格のSMSを使うため送信料がかかってしまうなど、LINEとは機能面でいくつか違いがあることも知っておく必要があるでしょう。
+メッセージ

+メッセージでもLINEと同様にスタンプの利用が可能。「スタンプストア」でスタンプを追加することもできる

 

楽天モバイルの回線では使えない

また+メッセージは携帯電話回線に紐づいたサービスでもあることから、全ての携帯電話利用者が使えるとは限らない点に注意が必要です。実際、提供開始当初の+メッセージは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクのメインブランドでしか利用できませんでした。

ですが2021年から2022年にかけて「ワイモバイル」「UQ mobile」などのサブブランドや、「povo」「LINEMO」などのオンライン専用プラン、さらには3社の回線を用いたMVNOの利用者であっても、+メッセージが利用できるようになっています。では現在、日本で+メッセージを利用できないのは誰かと言いますと、それは楽天モバイルのユーザーです。

なぜなら楽天モバイルは、同じRCSの技術を用いて「Rakuten Link」という別のサービスを提供しているからです。Rakuten LinkはRCSの技術を用い、国内通話を無料にするサービスを提供しているほか、Rakuten Linkの利用者同士であればSMSも無料で送受信可能。加えてRakuten Linkは楽天グループのサービスポータルとしての機能も持ち合わせており、楽天関連のサービス利用がしやすい仕組みが整えられています。
+メッセージ

楽天モバイルはRCSを用いた「Rakuten Link」というアプリを独自に提供。国内通話が無料でかけ放題になるなどのメリットがある一方、+メッセージとの互換性はない

ですが一方でRakuten Linkは+メッセージとの互換性がないので、楽天モバイルの回線で+メッセージを利用することはできません。また互いにメッセージを送る際にはSMSを用いることになるため、料金がかかってしまう点にも注意が必要です。
 

今後は行政サービスでの活用が広がる?

LINEと比べると認知や利便性の部分でまだ譲る部分が多く、日常的なコミュニケーションでの利用は途上という印象のある+メッセージですが、携帯大手がサービス提供しており利用者が非常に多く、インターネットではなく携帯電話回線を用いているといった特性を考慮すると、今後期待されるのは行政サービスでの利活用ではないでしょうか。

とりわけここ最近は、LINEを運営するLINEヤフーが個人情報の漏洩などで度重なる行政指導を受けており、政府からの信用を大きく落としている状況にあります。それだけにLINEに次ぐ規模を持つ+メッセージが、行政サービスに積極活用される可能性は十分考えられるのではないでしょうか。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※OSやアプリ、ソフトのバージョンによっては画面表示、操作方法が異なる可能性があります。

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