金融所得にも保険料がかかるように?
「所得に応じて国が医療や介護の保険料を算出する対象に、株式などの金融所得を含める
ことが検討されているようです。投資家はどう考えるべきでしょうか?」
今回は、この質問にお答えします。
金融所得で保険料増に? どうする?
先日、SNSで「金融所得も医療や介護の保険料の算出の対象になって、保険料が上がるかも」という話が話題になっていました。中原は労働所得よりも金融所得のほうが多いので、「実現したら嫌だな~」と思いながらニュースを読んでいました。「(利子や配当など)金融所得の確定申告をしていない自営業者が、確定申告をしている自営業者よりも保険料が減る仕組みになっていて、それが不公平だよね」という話が発端のようです。この議論が会社員まで広がるのかなど、細かいことは分かりません。
仮に最悪の状況……たとえば「会社員でも金融所得で保険料が上がる」という話が実現したとして、働きながら投資している人はどうすればよいのでしょうか。
中原もすこし考えてみたのですが、運用資産額が少額の人にできることは限られている気がします。とはいえ、運用資産額が少額の人は、稼ぎもそこまで大きくないですから、保険料が加算されたとしても影響は軽微だと思います。特に何もしなくても問題ないんじゃないでしょうか。
個人投資家の反応はだいたい「ネガティブ」?
一方、運用資産額がそこそこ大きい人……それこそ数億円単位で資産を運用している人なら、法人で運用しているという方も多いと思います。法人の金融所得なら保険料の対象外ですから、これも影響は小さそう。問題は「法人ではなく個人で大きな資産を運用している人」じゃないでしょうか。こういう人が金融所得に保険料がかかるのを免れるためには、たとえば従業員を雇わない「マイクロ法人」を設立して影響を抑えることはできそうです。金融所得を法人で稼いで、利益を自分に給与として支払う……という形態にすることで税率を下げられる気がします。
このニュースが出たとき、筆者はちょうど個人投資家と集まってYouTubeでライブ配信していました。個人投資家の反応はだいたい「ネガティブ」でした。そりゃあ、負担が増えるということを聞いて喜ぶ人はいません。
筆者としては、「誰とどの金融商品が対象で、対象外か?」が気になるところです。不動産は非課税で株式は課税……などになってくると、株式投資が主な収益源である筆者にとっては、大きな問題です。
金融所得は「リスクとリターンが表裏一体」です。儲けたときに保険料がかかるなら、「投資で損したらどのタイミングから反映されて保険料が減るのか」とかも気になります。儲けたときには負担があるのに、損したときに還付がないなら、それは不公平だと思います。
筆者が行う株式投資では、配当金に二重の納税が課されています。配当は投資先が「所得税を払った後」の利益を原資としていて、配当を受け取ったときに個人投資家が「さらに所得税を払う」必要があるからです。これに加えて保険料も……というのは、冗談じゃない!と感じたのは筆者だけじゃないと思います。