皇族の方々の生活費等はいったいいくら?
初任給はいくらなのか……はわかりませんが、愛子さまのようなお立場の方であっても、私たちと同様に「自分で働いて収入を得る」ことに喜びをお感じになるのではないでしょうか。
さて、愛子さまが得られた給与には所得税が課せられるのでしょうか。また皇族の方々の生活費等はいったいいくらくらい国から拠出されているのでしょうか。
まず、皇室のお金事情について解説します。
皇室の費用は国会で決められる
皇室の財産は国に帰属し、皇室に関する費用(皇室費)は国会の議決が必要であると、憲法第88条で決められています。細かな内容は皇室経済法という法律で決められています。
皇室に関する費用は3項目
皇族に関する費用は3つの項目に分かれています。
■内廷費(2024年度は3億2400万円)
天皇・上皇・内廷(雅子皇后、美智子上皇后、愛子内親王)の、私的に使えるお金。食費や被服費、交際費、医療費などです。しかし、プライベートなお金といいながら、実際は3割ほどは神事に関する人件費だそうです。憲法で政教分離が決められているため、公的なお金を神事に充てることはできず、皇室が私的に神職の方々を雇って神事を行っています。
■皇族費(2024年度の総額は2億6372万円)
皇族としての品位を保つために各宮家に支給されます。こちらも私的に使えるお金です。皇族が初めて独立の生計を営む際の一時金や、結婚して皇族の身分を離れる際の一時金も皇族費から支払われます。
皇族費は「当主の皇族費=3050万円」を定額として、各宮家の総額が算出されます。
たとえば秋篠宮家の場合、
- 秋篠宮さまは皇嗣(皇位継承順位1位の皇族)のため、皇族費は定額の3倍の9150万円
- 当主の妃である紀子さまは1525万円(定額の2分の1)
- 成人である佳子さまは、915万円(定額の10分の3)
- 2024年9月に成人する悠仁さまは、660万9000円(未成年のうちは定額の10分の1、成人後は10分の3)
となっています。秋篠宮家の皇族費は合計で1億2250万9000円です。
■宮廷費(2024年度は95億5381万円)
儀式、国賓・公賓等の接遇、行幸啓、外国ご訪問など皇室の公的ご活動等に必要な経費、皇室用財産の管理に必要な経費、皇居等の施設の整備に必要な経費。宮内庁が管理します。
結婚のお祝い金は皇族費から支払われる
皇族費から出る「一時金」については、小室眞子さんがご結婚の際、一時金の受け取りを辞退されるとして話題になりました。周囲の反対を押し切って愛を貫く覚悟が感じられるエピソードでした。結婚によって皇族の身分を離れる際の一時金は、「一時金の額は、独立の生計を営む皇族について算出する年額の10倍に相当する額を限度とする」と定められています。小室眞子さんには1億5250万円を限度額として、皇室経済会議(総理大臣や衆参両議院議長など8人で構成)が支給額決定することになっていました。
>皇族費から支払われる「一時金」やお祝い金についての記事はこちら
愛子さまの給与には所得税が課せられる
ここまで説明してきた通り、皇族の方が受け取り、私的に使うことができるお金には「内廷費」と「皇族費」があります。これらには所得税は課せられるのでしょうか。
所得税法第九条に、所得税が非課税になるものについて規定されています。そこに「内廷費および皇族費」という項目はあります。
一方、この春ご就職された愛子さまは給与を受け取られるようですが、こちらは課税されるのでしょうか。所得税法第九条には、皇族が得た給与等については規定がありません。
つまり、内廷費や皇族費は所得税非課税ですが、愛子さまや他の皇族の方々がお仕事で得られた所得には所得税が課せられます。