お金持ちが節約している出費とは?
ずばり結論から書くと、お金持ちは「ぜいたく品」と「税金」に使うお金を節約する傾向があります(1)。
お金持ちは、ぜいたくにお金を使わない。そう聞くと、一見、矛盾しているような気がします。しかし、よく考えてみればお金持ちとはお金を使わずに「持っている人」であり、「よく使う人」ではありません。だから、お金持ちがぜいたくしないのは、矛盾しているようで、むしろ筋が通っているのです。
お金持ちは倹約家?税金も賢く減らす
投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットは、若い頃に買った家にずっと住み続けています。バフェットは倹約家で、散髪で10ドルかけることすら嫌がったと言います。バフェットの親友であるビル・ゲイツも、倹約家でした。彼はビジネスが大成功してからも、飛行機で移動するときにはエコノミークラスを使いました。ゲイツは「ファーストクラスに乗れば、到着時間を早めることができるのかい?」とユーモア交じりに話していたそうです。
また、お金持ちは税金を賢く減らしています。働いていると、「こんなに働いていて、お給料もそこそこもらっているはずなのに、どうしてお金が貯まらないんだろう?」と疑問を感じることがあります。筆者もその一人です。
そこで時間をかけて調べてみると、僕らは思っている以上に多くの税金を払っていることが分かります。
年収1000万円の会社員の負担する社会保険料は大きい
たとえば、年に1000万円の給料をもらっている会社員(扶養親族なし、介護保険料なし)を例に考えてみましょう。まず、給料から社会保険料が引かれます。この社会保険料が曲者で、かなりの割合を引かれます。年収1000万円なら、だいたい140万円くらいでしょうか。
しかも、社会保険料に関してはたくさん差し引かれるというだけではありません。たとえば、厚生年金保険料は「会社と個人が折半して払う」ことになっています。会社員にとっては「折半してもらえてお得」に見えるかもしれません。
しかし、結局、会社側だって会社が負担する分も見越したうえで給料を決めています。会社の負担というのは会社員を納得させるための「言い回し」に過ぎず、実質、自分が負担しているのと変わらないのではないでしょうか。会社負担の厚生年金保険料も自己負担として勘定すると、200万円近くは負担していると考えられます。
社会保険料には厚生年金保険料だけでなく健康保険料や雇用保険料、労災保険料などがあります。厚生年金保険料の割合は折半する前で給料の18%、健康保険料は給料の10%前後です。社会保険料だけで、給料の3割がなくなります。つまり表向きは年収1000万円で働いていても、会社側としては社会保険料の負担分がなければ年収1150万円を支払えるということです。
そこからさらに、所得税と住民税がかかります。もろもろ控除したあとの実効税率は10%くらいでしょうか。住民税が10%と、所得税による累進課税がかかります。これでマイナス100万円です。
結局、年収が1000万円の人でも、実質的に受け取れる手取りは700万円+数十万円くらいです。そこから生活費(食費、家賃・住宅ローン、保険料、通信費など)を引いて、貯金して、残ったぶんを娯楽に回していると、あっという間に予算がなくなります。
お金持ちは、こういう負担を上手に減らす仕組みを使っています。確定拠出年金を使って、所得控除しながらお金を貯めたり、貯蓄性の生命保険を使って、節税しながらお金を貯めたりしているのです。
フリーランスの場合は、さらに幅を持たせることができます。法人を設立することで法人と個人とで所得を分散させて、所得税を減らすこともできるでしょう。小規模企業共済などに積み立てることで、所得控除の対象とすることもできます。こうやって、税負担を減らしながら、上手にお金を蓄えているのです。
まとめ
お金持ち研究の第一人者であるトマス・スタンリー氏は、著書「となりの億万長者」で次のように書いています。「経済的にしっかりした基盤を持とうと考えているなら、きっと実現できる。だが、よい暮らしをするためにお金が欲しいと思っているのなら、一生、金は貯まらない」
つまり、お金が欲しい理由が「使うため(ぜいたくするため)」であるかぎり、お金持ちにはなれないということです。
お金持ちは「ぜいたく品」や「税負担」を節約しています。お金持ちは「コスパ」を強く意識しています。だから、コスパの悪いぜいたくはしませんし、受け持つ必要のない余計な税負担もしないのです。
参考図書
(1)トマス・スタンリー著「となりの億万長者」