年収の分布の1位は300万~400万円以下、2位は400万~500万円以下
国税庁が公表した「2022(令和4)年分 民間給与実態統計調査」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は458万円であり、これを男女別にみると、男性563万円、女性314万円となっています。また、調査内の人々の年収の分布をみると、最も多いのは300万~400万円以下の人が840万人(構成比16.5%)、次いで400万~500万円以下の人が779万人(構成比15.3%)となっています。
今回は、年収300万~500万円以下の人を対象に、手取り額はいくらあるかということと、どのくらいを貯蓄に回しているのかみてみましょう。
年収300万~500万円の手取り額はいくら?
年収300万~500万円の手取り額を比較してみましょう。手取り額を計算するための要件としては以下を設定しています。・給与の受取人の年齢は40歳以上です。
・所得税・住民税を計算する際の扶養家族は「1人」と「扶養なし」です。
・社会保険料は厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料(一般)を合わせた金額です。
【年収300万円・扶養家族1人】
・社会保険料:49万円
・所得税:4万円
・住民税:8万円
・手取り額:239万円(手取り割合:79.7%)
【年収300万円・扶養なし】
・社会保険料:49万円
・所得税:6万円
・住民税:12万円
・手取り額:233万円(手取り割合:77.7%)
【年収400万円・扶養家族1人】
・社会保険料:64万円
・所得税:7万円
・住民税:14万円
・手取り額:315万円(手取り割合:78.8%)
【年収400万円・扶養なし】
・社会保険料:64万円
・所得税:9万円
・住民税:17万円
・手取り額:310万円(手取り割合:77.5%)
【年収500万円・扶養家族1人】
・社会保険料:77万円
・所得税:11万円
・住民税:21万円
・手取り額:391万円(手取り割合:78.2%)
【年収500万円・扶養なし】
・社会保険料:77万円
・所得税:15万円
・住民税:24万円
・手取り額:384万円(手取り割合:76.8%)
年収300万円であれば、手取り額は約240万円、1カ月あたりでいえば19万~20万円ほどです。また、年収400万円であれば、手取り額は約310万円、1カ月あたりは25万~26万円ほど。年収500万円であれば、手取り額は約390万円で、1カ月あたりは32万~33万円ほどになります。
年収300万~500万円の年間手取り額から貯蓄に回す割合は?
次は、年収300万~500万円の手取り額から貯蓄に回す割合をみてみましょう。参考にする資料は、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2023年)」です。
●単身世帯が手取り収入から貯蓄に回す割合
・5%未満:5.2%
・5~10%未満:9.5%
・10~15%未満:21.2%
・15~20%未満:3.6%
・20~25%未満:10.8%
・25~30%未満:3.8%
・30~35%未満:7.2%
・35%以上:14.9%
・貯蓄しなかった:23.9%
・平均:17.0%
●二人以上世帯が手取り収入から貯蓄に回す割合
・5%未満:6.6%
・5~10%未満:13.5%
・10~15%未満:19.3%
・15~20%未満:3.6%
・20~25%未満:6.8%
・25~30%未満:1.3%
・30~35%未満:3.4%
・35%以上:4.0%
・貯蓄しなかった:41.5%
・平均:8.0%
年収300万円の単身世帯が、平均貯蓄割合である「17%」を貯蓄したとすれば、手取り額233万円のうち貯蓄額は約39万円(月3万2000円ほど)です。
また、年収400万円の単身世帯であれば、手取り額310万円のうち貯蓄額は約53万円(月4万4000円ほど)となります。同じく年収500万円であれば、手取り額384万円のうち貯蓄額は約65万円(月5万4000円ほど)となります。
一方、年収300万円の二人以上世帯が、平均貯蓄割合である「8%」を貯蓄したとすれば手取り額239万円のうち貯蓄額は約19万円(月1万6000円ほど)です。
また、年収400万円の二人以上世帯であれば、手取り額315万円のうち貯蓄額は約25万円(月2万円ほど)となります。同じく年収500万円であれば、手取り額391万円のうち貯蓄額は約31万円(月2万6000円ほど)となります。
とはいえ、単身世帯、二人以上世帯どちらも「貯蓄しなかった」と回答した人の割合が2~4割を占めています。食費や光熱費などの値上がりで、家計に余裕がないと思う場合があるかもしれませんが、まずは「手取りの1割」を貯蓄することから始めてみてはどうでしょう。