妻が台ふきんを使わない理由に呆れる
思い描く家庭像が妻と根本的に違うのかもしれない
「妻は無駄が多いんです。たとえばテーブルがちょっと汚れたら布巾を使えばいい。なのにいちいちペーパータオルで拭くんです。台ふきんがあるんだからこれを使えばと言うと、すすぐのが面倒だと。食べ残すとすぐ捨てるし。明日の朝、食べればと言ったら『2回同じものは食べたくない』って。何様だよと心の中で言ってますよ、僕は」
子どものことはかわいがっているが、いいことと悪いことの区別をつけさせないで猫かわいがりしているだけのように彼には見える。食事の最中、上の子が食べながらしゃべり、なおかつ箸を振り回していたので怒ったことがあるのだが、妻は「いいじゃない、そのくらい」と叱ろうともしなかった。
それでいて子どもが熱を出して、彼が保冷剤を探してあたふたしているとき妻は「早く対処してよ。救急車呼ぶわよ」と金切り声を上げた。単なる風邪だから救急車はもう少し待ったほうがいいと言ったが、妻は呼んでしまったこともある。
「子どもが生まれてからずっと、すべての責任が僕だけにある。その荷が重くてたまらないんです。妻とふたりで子どもを育て、ふたりで家庭を作っている実感がない。僕が主で、妻は枠外から覗いているだけのような気さえします」
夫が寝込むと家庭は完全停止状態に
彼が風邪をひいて寝込んだときは、家庭は完全に停止状態だった。高熱で頭がぼうっとしながら、彼は悪寒を我慢して起き、妻子の食事の下準備だけはしたという。「子どもがいると忙しいのよと妻はよく言うんですが、それは僕のセリフですよ。彼女は子どもの食事や衛生面などいちばん大事なところは見ていないんですから」
最近、8歳の長男が料理をしたがるようになった。彼はこれ幸いと手伝ってもらっている。次男もそばでお皿を出してくれたりするのがかわいいと彼は笑顔を見せた。
「そうなったら妻は自分がのけ者にされていると思ったのか、なんとなく不機嫌になって……。僕たち、付き合って半年くらいで妊娠を機に結婚したんです。結婚してからゆっくり知り合っていこうと思っていたけど、僕が描く家庭と、彼女のイメージする家庭はあまりにも違う。彼女は魅力的な女性ではあるけど、生活を楽しむタイプではないのかもしれません。本当はもっと経済的に豊かな人と結婚して、楽に暮らしたかったのかもしれませんね」
家庭に対するイメージ、日常生活への向き合い方がここまで違うと、この先が不安になるとユウイチさんは言う。ここまでなんとかやって来たのだから、子どもたちが大きくなるまでは頑張るしかないんですがと彼は苦笑した。