「家庭はひとつの会社みたいなもの」と言う人がいるのもうなずける。日常生活は細かなことの積み重ね。その細かなことへの価値観が夫婦で違いすぎると、だんだん相手を信用できなくなっていくのかもしれない。
育児に忙しい妻のコンビニ依存
「うちは共働きで8歳と6歳の子を育てています。ただ、妻は子どもが上の子が生まれたときから下の子が2歳になるまでは専業主婦でした。あのころは経済的につらかったですね」そういうのはユウイチさん(42歳)だ。結婚して3年目で長男が生まれたとき、「仕事が大好き。子どもはいらない」とまで言っていた妻はあっさりと退職した。もうひとりほしいと妻が望み、2年後に次男が生まれた。
「ふたりとも独身時代の貯金を取り崩したこともありました。どちらも親からは援助が見込めないので、節約しながら子育てしていた」
それなのに、妻がやたらとコンビニで買い物をしていることに気づいて「あれ?」と思ったと彼は言う。
「小さな子をふたり抱えているのは大変だとわかっていたから、僕ら大人が食べる惣菜や冷凍食品を買うのはわかる。でも彼女はおにぎりやごはんを買うんですよ。2歳にしてコンビニのおにぎりが大好物ってどうなんだろうと思いました。そもそもおにぎりなんて、米を炊いて作ったほうが安いに決まってるじゃないですか。僕がそう言ったら『とにかく子どもに手がかかっておにぎりだって作れない』と。それならと、僕は朝早く起きて、自分の分と妻、子どもたちのお弁当を作りました。たいしたものじゃないですよ。おにぎりに卵焼きにウインナーとサラダくらいなものです」
妻が再就職しても、弁当担当は夫のまま
食が細かった長男は、ユウイチさんがお弁当を作るようになってから「パパのお弁当」が大好きになった。彼は気を良くして、ついでに朝、夕食の下ごしらえもし始めた。妻は大喜びだったが「なんか釈然としなかった」と彼は言う。それでも子どものためには睡眠時間を削ってがんばっていたのだ。上の子が4歳のときに妻は再就職を決めたが「これからもよろしくね」とお弁当を期待した。子どもたちは保育園で給食が出るため、自分と妻、ふたり分の弁当を作った。夕飯の下ごしらえもすっかり彼の仕事になったようだ。
>結局、家庭のことを回しているのは自分?