「ええと……大阪も福岡も最後に行ったのは……いつだったかなあ。私も検索しないと分かんないなあ」。こんな具合なので、友人らは筆者に質問したことをすぐに後悔する。時には、彼らの日本旅行の話についていけないことすらある。
韓国では日本は大人気の海外旅行先であるため、日本各地のさまざまな観光地に行ったことがある人が実に多く、ほぼ帰省か、たまに東京に行くぐらいしかしない日本人の筆者の方が日本の観光地について疎いのだ。
そんな“日本通”の友人ら、あるいは筆者が日本人と知り、日本の話題を振ってくれる現地の人たち(主に10代後半~50代女性)と話していると、頻繁に出てくるいくつかのある単語がある。それらはイマドキ日本旅行のキーワードと言えそうだ。何かというと、まず「コンビニ」、それから「イオンモール」、「おまかせ」、この3つ。
もはや定番のショッピングスポット「コンビニ」
日本の「コンビニ」人気は相当なものがある。韓国のコンビニと比べて品ぞろえが豊富、コンビニフードのレベルが高いなどが人気の理由だ。2023年夏に日本へ旅行に行った大学院生のジョンヒョンちゃん(20代半ば)は、日本旅行の目的自体がコンビニでの買い物だと言い切ったほどのコンビニフリーク。帰りはコンビニで買った商品をたっぷり詰め込むので、行きのトランクはほぼ空っぽで行くのだと言っていた。ホテルではコンビニで買ったスイーツを食べ、ビールの飲み比べもするのだとか。日本に行く韓国の観光客がよく買う定番の人気菓子、こんにゃくゼリーを買うことも忘れない。
コンビニに行くことを楽しみにしている彼女のような韓国の若者は多い。安くておいしくて軽い、最高のお土産がコンビニにはそろっているということで、コンビニオリジナルのお菓子や調味料、ラーメンなどの食料品も人気がある。
何でも買える便利さと、広くて楽しい空間が人気の「イオンモール」
「イオンモール」人気もなかなかのようで、イオンモールに行きたいという声もよく聞く。お手頃価格の商品を扱うテナントが数多く入店しており、あらゆるものを一カ所で買い物できる点が人気のようだ。小学生と中学生の子どもを持つワーキングママのシヨンさん(40代)は、いつも子ども服や、文具などをイオンモールでまとめて買うという。また、広くてなんとなく楽しい雰囲気がいい、と話してくれた人も。
初めて韓国の人からイオンモールが好きだという話を聞いたときは、驚いた。どちらかというと郊外にあり、観光客が利用するのには不向きなんじゃないかと思ったからだ。だが、その人気ぶりを確信してから調べてみると、国際空港のすぐ近くにある店舗、主要駅付近に位置するものもある。沖縄の場合は、観光客の多くがレンタカーを使うので、車で行ける。
一度は経験したい憧れの「おまかせ」
そして数年前から人気がある「おまかせ」も外せない。韓国では注文内容を店側にまかせるスタイルのメニューのことを言う。この言葉が広まり始めたころは、主に寿司店で使われていたが、今ではカフェやその他のレストランでおまかせメニューがあっても驚かないほど浸透した。共通するのは、高額だということ。しかし、そこに価値を見いだす人も多く、今では特別な日の食事選びに「おまかせ」を選ぶ人も増えた。この「おまかせ」という言葉、もちろん日本から来たもので、ならば日本に行った際、本場の「おまかせ」を体験しようという人が多いのだ。2023年秋に東京旅行へ行ってきたばかりの友人クニョンさん(40代)は、旅程が決まるとすぐに銀座の寿司屋を予約した。もちろんカウンターに座って食べる「おまかせ」のコースをだ。感想を尋ねると、値段が高いのはもともと分かっていたけれど、周りのお客さんも皆、服装までびしっと決めていてちょっと緊張したとのこと。でも、本場の本格おまかせを体験できていい思い出になったと言っていた。
韓国で「おまかせ」がどれくらい人気があるのか知りたい方人は、SNSで「오마카세」と検索してほしい。韓国の人たちが体験するさまざまなおまかせの世界を垣間見ることができるはずだ。