筆記部分の視認性の高さを数値化して検証
筆記部分の見やすさについても、従来のモデル以上の視認性を実現しています。実際に書いてみるとすぐにそれを感じるくらい、書いている場所がさらに見やすくなっているのが分かります。筆者がこのシャープペンシルを取材したいと思ったのは、まず、この視野の広さがあったからです。「口金が通常の円錐形ではなく、段が付いた『段テーパー』と呼ばれる形状になっていますが、この形状も、ペン先をよりスリムにして筆記部分を見えやすくするために作った形です。しかも、今回、本当に見やすいのかという部分に関しては、視界を数値化して段やテーパーの角度などを検証しながらデザイナーと形状を練っていきました」と平戸さん。 グリップから三段に段差が付いている上に、直線ではなく曲線で先に向かって細くなっていく、特殊な形状の口金は、実際に書いてみるテストと数値化しての検証の両面で作られたということです。これまでの「モノグラフ」シリーズの、段テーパーになっていて先端が細く、しかもパイプ部分が長くなっているという形状でも十分に見やすかったのが、さらにグレードアップされていることに驚かされます。
「視認性についてですが、今回、学生ユーザーがメインターゲットですので、まずB罫6mm、A罫7mmのノートの一行幅を規定して、ペンの角度を固定してペン先を置いたときの文字の周りの面積というのを数値化しました」と平戸さんは数値化の詳細についても説明してくださいました。
グリップから口金まで金属製の一体成形で作られている
また、先が細ければ、その分、筆記時にガタ付きやすくなるのではないかと思うのですが、「モノグラフファイン」では、そこも考えられていました。口金からグリップまでが金属製の一体切削加工になっているのです。これまでもガタ付きが少なかったのですが、そこがさらに改良されています。「口金からグリップまでが金属製で一体切削加工になっているので、例えば使っているうちにパーツが緩んで、その隙間がガタ付きの原因になるということもありません。強めの筆圧の方でも安心して書けるということでもありますね。また、グリップから先が全部金属なので、ちょうどいい具合に低重心になります。ペン先だけが重いのではなく、指先で握る部分に重心が来るので、ペン先の動きも軽快です」と平戸さん。
確かに、筆者はペン先だけが重いタイプの低重心は、筆記時の動きが重く感じられてあまり好きではないのですが、これなら、ペン先の方に重心が寄りつつも、前に傾き過ぎず、軽く書いていけます。そして、もう1つの気に入った点として、持ったときのグリップの感触の良さがあります。
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