55歳男性からの相談。新NISAはなるべく早く1800万円を積み立てた方がいい?
Q. 55歳の会社員男性です。新NISAはなるべく早く1800万円を積み立てた方がいいですか?
「55歳の会社員男性。新NISAは生涯投資枠が合計で1800万円ありますが、年間の投資枠360万円をフルに使い、最短の5年間で1800万円を積み立てた方が有利と聞きました。一方、相場の変化等もあるので、例えば20年かけて1800万円を積み立てるなど、時間軸を長くするのもありじゃないかと思います。どちらがいいでしょうか?」(55歳・会社員男性)A. 高齢になってから積立が終わるプランではそもそも意味がありません
20代や30代であれば、20年以上の時間をかけて1800万円の枠を満たすのが普通だと思います。そもそも20~30代は収入がそれほど大きくない年齢層なので、成長投資枠とつみたて投資枠の両方をフル活用して、毎月30万円ずつ積み立てるというのは、なかなか難しいでしょう。
現実を見て、例えば毎月の積立額を3万円にしたとします。それでも結構、捻出するのが大変な金額かもしれませんが、毎月3万円ずつの投資だと、1800万円の枠を満たすまでには50年がかかります。
50年もかかるようでは、30歳から新NISAで積立投資を始めたとしても、満額を積み立て終った時にはすでに80歳です。
それでもよいという人は、「それも人生」ということになりますが、そもそも老後の生活に使うお金を増やしていきたいという人からすれば、80歳で積立が終わるようプランでは何の意味もありません。
したがって、積立投資で老後の資産形成をする人は、満額の状態で運用できる期間をどのくらいにすればよいのか、いつになったら1800万円の枠を満たせるのかといった点に留意して、積立投資のプランを考える必要があります。
会社員なら退職までには1800万円の投資枠を満たしておきたい
たとえば60歳で定年を迎えた後は、インカムゲイン(株式の配当金や、投資信託の分配金、債券の利息など)の取得をメインにした運用商品で投資を続けていきたいと考えているのであれば、それまでに1800万円を満たしておきたいところでしょう。たとえば60歳まではグローバル株式で運用できる投資信託やETFなどで積立投資を続けていき、60歳以降、グローバル株式で運用するETFや投資信託を順次解約して、その資金をインカムゲイン重視の運用商品にシフトさせていくのがよいでしょう。
退職後のインカムゲインを期待する人が注意したいこと
質問者の場合、今の年齢が55歳ですから、仮に雇用延長で65歳まで働くのであれば、あと10年間は積立投資をする時間的余裕があります。元本ベースで1800万円を10年間で積み立てるのであれば、年間の積立金額は180万円。月にすると15万円です。もし経済的なゆとりがあるならば、10年間で1800万円の枠を満たしてください。ただし、注意点がひとつあります。それは、資産活用期間に入るまでの時間が10年しか残されていないことです。
たとえば65歳になるまでの10年間を、グローバル株式型投資信託で運用し、65歳になった時から順次、毎年可能な枠内でインカムゲイン主体の運用商品に切り替えていくとすると、すべてをシフトし終えるまでに最短で5年が必要です。そうなると、完全にインカムゲイン主体の運用商品に切り替え終わった時には、70歳です。
それでもよいという人は、65歳までグローバル株式で全力運用すればよいのですが、65歳から完全にインカムゲイン主体の運用商品にシフトしておきたいという方は、55歳で運用をスタートさせる段階から、インカムゲイン主体の運用商品で積み立てていく方がよいでしょう。