資産運用

Q. 60歳以降になると大幅に給料が減るが、どういった金融商品を運用すればいい?

インフレの進行や2024年の新NISA導入を控え、「貯蓄から投資へ」の流れが本格化しようとしています。一方で、「投資は怖い」「自分に合った投資方法が分からない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そんな投資初心者の方の疑問に専門家がお答えします。今回は、59歳女性から寄せられた定年退職後の運用方法に関する質問です。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

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60歳以降の給料

60歳以降になると大幅に給料が減るが、どういった金融商品を運用すればいい?

インフレの進行や2024年の新NISA導入を控え、「貯蓄から投資へ」の流れが本格化しようとしています。一方で、「投資は怖い」「自分に合った投資方法が分からない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そんな投資初心者の方の疑問に専門家がお答えします。今回は、59歳女性から寄せられた定年退職後の運用方法に関する質問です。

Q. 60歳以降になると大幅に給料が減りますが、どういった金融商品を運用すればよいでしょうか?

「定年間近の会社員女性。60歳以降になると大幅に給料が減りますが、どういった金融商品を運用すればよいでしょうか?」(59歳・会社員女性)

A. 資産活用層となる60歳以降は価格変動が小さくインカムゲインの得られる運用商品を選ぼう

資産運用では、「資産形成層」と「資産活用層」という2つの層に分けて考えることが一般的です。

多くの人は20歳前後から働き始め、会社員であれば65歳くらいで一応、現役にピリオドを打ちます。この時間軸で考えると、20歳前後から65歳までは、働いて得たお給料の一部を預貯金や投資商品に振り向けて、金融資産を少しずつ増やしていきます。これが資産形成層です。

ただし、資産形成層が65歳までとはいえ、老後の不安を払拭できる資産を築くためには、遅くとも50歳前後までには運用を始めておきたいところです。

65歳以降は、厚生年金などの公的年金をベースにしつつ、生活費で足りない部分を、それまで築いてきた金融資産の一部を取り崩していきます。これが資産活用層と言われるゆえんです。

今回の質問者は、「60歳以降になると大幅に給料が減る」とのことですので、質問者がまもなく資産活用層となるという前提で話を進めたいと思います。

資産活用層に求められる運用商品を選ぶ条件は、2点あります。

1. ボラティリティの小さい運用商品を選ぼう

ひとつはボラティリティ、つまり価格変動の小さいものを選ぶこと。価格変動の大きな運用商品は、確かに大きく儲かることもありますが、半面、大きな損失を被るリスクもあります。60歳以降の資産運用で大きな損を被り、保有している金融資産の評価額が大幅に減ってしまうと、それだけでストレスフルな老後生活になるので、極力避けたいところです。

2. インカムゲインが得られる運用商品を選ぼう

そしてもうひとつの条件は、十分なインカムゲインが得られる運用商品を選ぶことです。インカムゲインとは、債券の利金、預金の利息、株式の配当金、投資信託の分配金などを指します。

ただ、今の日本の金利水準からすると、債券の利金や預金の利息は微々たるものです。また投資信託の分配金は、純粋に運用収益だけでなく、実質的に元本の一部を取り崩して分配金に回しているケースもあるので、下手をすると分配金の支払いと共に、元本も取り崩すことになります。

では、株式の配当金はどうでしょうか。株式の場合、株価の値上がり益で儲けるというイメージがありますが、最近は配当を増やす企業も増えています。この配当金が、株式を購入した時の株価に対して何%かを示したのが「配当利回り」です。

「配当利回りランキング」でネット検索すると、5%を超える銘柄も結構あります。仮に2000万円を配当利回り5%で運用すると、年間の配当金は100万円になります。月額に換算すると約8万3000円。公的年金を加えれば、そこそこの生活は維持できるのではないでしょうか。

この運用法のミソは、月8万3000円の配当金と公的年金で生活できれば、株式を買い付けた投資元本を一切、取り崩さずに済むことです。

もちろん、株価は下落することもあるので、評価額が下がることはありますが、配当金の額さえ変わらなければ、同じ生活水準を維持できます。多少、株価が下げたとしても、それほどストレスにはならないはずです。

さらに、配当利回りが5%を超えるような銘柄は、総じて株価が割安水準であることが多く、そのため株価のボラティリティも小さく抑えられます。その点でも、投資に対してある種、怖い気持ちを持っている人にも向いている投資法といえるでしょう。
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