ずるい、適当……それでも仕切りを任せる理由
仕切りたくて前面に出てくるものの、仕切りがうまくいかないと人のせいにしたり、最後は逃げるように手を引くなど、リホさんの「ずるい適当さ」はそれ以降も続いた。だが、誰かが代わりに仕切るようなことはなかった。「彼女たちとの付き合いは3年ほど続いたんですが、結局、みんな忙しいからできる限り、トップに立ったり世話役になったりはしたくないんですよ。だから仕切りたがりのリホさんに任せてしまった」
いつもあとから、「あの人に任せると何かがうまくいかなくなる」とみんなが思っていたが、言い出す人はいなかった。
トラブル発生! 香典が消えた真相
あるとき、ママ友グループの全員がお世話になっていた地元の高齢者が亡くなった。家族だけで葬儀をするという情報を聞きつけ、リホさんは「私がお香典を集めて持っていっておく」と言った。ところがそのお金をリホさんは先方に届けなかった。「なかなか事態が判明しなかったんです。そこでグループの誰かが、“先方が何も言ってこないのはおかしい”と思って先方と親しい人に聞いてみたら、そんなお香典は来ていないと。それでリホさんを問い詰めたら、のらりくらりと逃げるんですよ。『私は届けたわよ。家族葬なんだから、あちらが公にしたくないんじゃないの?』と。でもなんだかおかしい。それでまた誰かがリホさんの夫に直接尋ねてみた。それですべて明るみに出て」
リホさんの夫はみんなに頭を下げて歩き、出したお金は返ってきたが、その後、リホさん夫婦は離婚。リホさんは姿を消した。そのうち夫も子どもも見なくなった。
「気の毒ですよね。妻が妙なことをしたために一家離散、夫もいられなくなって。彼女、仕切っているときは気持ちがよかったんでしょう。でも最終的にまとめ役ができないので、適当なところで投げ出したりしてしまう。つじつまを合わせるために嘘をついたりごまかしたりもしていたと思う。できることだけして、できないことは人に任せればいいのに、プライドだけは高かったのかもしれません」
自然消滅したグループだが、グループがなくても誰も困らない。気が合う人とは、何もしなくても交流は続いていく。自身も「グループ」にこだわりすぎたと、チナミさんは今になってそう考えていると言った。