食生活・栄養知識

Q. 貧血ぎみです。コーヒーを飲む習慣はやめるべきでしょうか?

【大学教授が解説】コーヒーには鉄吸収を阻害する成分が入っています。そう聞くと、貧血気味の人はコーヒーを飲む習慣はやめようと思われるかもしれません。しかし、鉄吸収の仕組みは複雑ですので、コーヒーの影響のみを考えるのは合理的ではないのです。わかりやすく解説します。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

Q. 貧血ぎみなのですが、コーヒーを飲むのをやめた方がいいですか?

貧血とコーヒーの関係

貧血ぎみと言われたらコーヒーを飲むのはやめるべき?


コーヒーには鉄吸収を低下させる成分が入っているため、鉄欠乏性貧血など、貧血を指摘された人はコーヒーを飲んでも大丈夫なのか、気になるかもしれません。わかりやすく解説します。

Q. 「やや鉄欠乏性貧血ぎみだと言われました。鉄分をしっかり摂れる食品を調べていたところ、コーヒーは鉄吸収を低下させる成分が入っていると知り、不安になりました。私は毎朝必ずコーヒーを飲む習慣があるのですが、やめるべきでしょうか?」
 

A. やめる必要はありません。普段の食生活でバランスを少し工夫すれば十分です

たしかにコーヒーには、ポリフェノール類のタンニンやクロロゲン酸など、鉄の吸収を阻害する成分が入っています。ある研究では、「タンニンを5mg摂取すると鉄の吸収が20%阻害され、タンニン25mgでは67%、100mgでは88%減少した」と報告されています(Eur J Clin Nutr, 43(8): 547-557, 1989)。

こういったデータを見ると、コーヒーを飲まない方がいいと思われそうですが、実は話はそれほど単純ではありません。鉄の吸収は複雑で、多くの食事要因の影響を受けるからです。コーヒーを飲むことよりも、他の様々な食べ物や飲み物の方が、鉄の吸収に与える影響が大きいという証拠がたくさんあります。普段口にしている食品の中にも、鉄の吸収を促進するものも阻害するものも、数多くあるということです。

また、摂取する鉄の種類も重要です。 鉄は食品中に「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2つの形で存在します。 非ヘム鉄は主に植物性の食品に含まれていますが、吸収率が2~20%と比較的低いです。一方、肉や魚介類のみに含まれる動物由来のヘム鉄は、吸収率が15~35%と高いです。この差は、非ヘム鉄が多くの食事要因の影響を受けやすいのに対して、へム鉄が他の食事要因の影響を受けることなく、そのまま吸収されることによって生じています。コーヒーも、植物性食品からの非ヘム鉄の吸収は低下させますが、動物性食品のヘム鉄にはほとんど影響しません。したがって、肉などの動物性食品をしっかり摂れているなら、コーヒーが鉄不足に影響する可能性は低いのです。

また、動物性タンパク質やビタミンCを一緒に摂取することで非ヘム鉄の吸収が高まることも知られています (Am J Clin Nutr, 91(5): 1461S-1467S, 2010)。ですから、他の食事の内容を少し工夫するだけで、コーヒーの鉄吸収に対する影響をさらに減らすことができます。

これらのことを総合的に考えると、貧血だからと言ってコーヒーを飲むのを止める必要はないでしょう。事実、多くの健康な人は、食事から十分な鉄分を摂取できており、コーヒーの摂取量と鉄欠乏には関連性がないことが示されています。 鉄欠乏のリスクがある人でも、肉や魚介類から適切な量のヘム鉄と、野菜類からビタミンCを定期的に摂取していれば、コーヒーを飲んでもかまわないでしょう。

ベースとして健康的な食生活ができていれば、朝のコーヒーの楽しみまで我慢する必要はありません。

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