Q. アルツハイマー病新薬の「レカネマブ」と「レケンビ」は別物ですか?

【薬学部教授が解説】アルツハイマー病の新薬が正式承認されましたが、「レカネマブ正式承認」と「レケンビ正式承認」という2種類の報道があり、混乱している方もいるようです。これは2つの薬が承認されたわけではありません。レカネマブとレケンビはどう違うのか、どちらが正しいのか、という疑問に回答します。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

Q. 「レカネマブ」と「レケンビ」は違う薬なのでしょうか?

考える女性

記事によって名称が違う? どちらが正しい薬の名前なのでしょうか

アルツハイマー病の新薬が国内で正式承認されましたが、薬の名前として2種類の報道があり、混乱している方もいるようです。わかりやすく解説します。

Q. 「アルツハイマー病の進行を遅らせることができると期待されている新薬が、日本でも使用可能になるというニュースを見ました。そのとき、薬の名前が「レカネマブ」と書かれている記事と、「レケンビ」と書かれているものがあったのですが、これは別の薬ですか? どちらが正しいのでしょうか」
 

A. 同じ薬です。「レカネマブ」は薬の本名で、「レケンビ」は商品名です。

2023年9月25日に、認知症の主な原因疾患として知られるアルツハイマー病の新薬を正式に承認すると、厚生労働省が発表しました。これまでに使われていたアルツハイマー病の治療薬は、薬を飲んでいるときは認知症で低下した記憶・認知力が一時的に少し良くなる効果が認められるものの、病気の進行を抑えることはできませんでした。しかし、今回認められた新薬は、アルツハイマー病の原因物質と考えられる「アミロイドβタンパク(Aβ)」に対する抗体なので、これを投与することで病気の進行を遅らせることが可能になると期待されています。

この新薬の名前については、おっしゃるとおり「レカネマブ(lecanemab)」「レケンビ(Leqembi)」という2種類が報道されていて混乱が見られるようですが、実は同じものです。

「レカネマブ」は、薬の「本名」に相当し、専門的には「一般的名称(一般名)」に相当します。それに対し、「レケンビ」は、レカネマブを含んだ製品をエーザイ社が売り出すためにつけた「販売名(商品名、ブランド名)」に相当します。

まだ「レケンビ」は発売前ですが、発売後もしばらくはレカネマブを含んだ製品は一つしかないので、どちらで呼んでもかまわないと思います。医薬品には、開発元のメーカーに特許権がありますので、一定期間は他のメーカーが類似品を作って売ることはできないからです。しかし何年か経つと特許が切れますので、そうすると他のメーカーもレカネマブを含んだ製品を作って販売を開始するかもしれません。そのときには「レケンビ」以外の販売名がつけられることでしょう。また逆に、もしエーザイ社がレケンビの販売を中止したときにはその名前が消えることになります。そのような場合でも、一般名の「レカネマブ」は残ります。

つまり、現時点では「レカネマブ」と「レケンビ」は同じものを指していると解釈してもいいですが、薬としての本名は「レカネマブ」の方ですから、医療関係者でなければ、「レカネマブ」の方を覚えておいたほうが役に立つでしょう。

「レカネマブ」という一般名の意味については、「Q. アルツハイマー病新薬の『レカネマブ』という薬の名前は、どのような意味ですか?」で解説していますので、あわせてお読みください。
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