「初心者は個別株に手を出すな」と言われるけど……
こんな声をSNSやYouTubeでよく耳にします。
しかし、インデックス投資だけを続けていても、投資の上級者になれないのではないかという焦りから、「個別株投資に挑戦したい」という気持ちが湧く人も多いでしょう。では、どうすれば“個別株デビュー”ができるのでしょうか?
また、そもそもインデックス投資と同じように手軽に個別株投資を始める方法はないのでしょうか?
18歳から株式投資を始め、現在は準富裕層の個人投資家・トレーダーの中原良太さんが、これらの疑問にお答えします。
Q. 個別株投資はなぜ「危険」なの?
なぜ「危険」と言われるのか、理由は2つあります。1つ目の理由は「質の低い個別株」がたくさんあるからです。
たとえば、スーパーマーケットで食べ物を買うところを思い浮かべてください。
スーパーに並んでいる食品は、きちんと品質が管理されています。「食べたらお腹を壊す」ものはなく、ほとんどは賞味期限や消費期限を守っていれば安全です。
一方、株式市場は、こういった管理が「まだ行き届いていない」です。利益を出しても投資家に還元しない上場企業や、赤字を垂れ流す上場企業、あるいは業績が日に日に悪くなっている上場企業などもたくさんあります。
こういう株式は「食べるとお腹を壊す食べ物」みたいなもので、せっかくお金を払って買っても、大した見返りが得られません。株式市場は「品質管理の行き届いていないスーパーマーケット」みたいなものだということです。こういう「質の低い個別株」を目利きできるようになっておかないと、個別株投資では痛い目に遭いやすいです。
2つ目の理由は「値段が高過ぎる個別株」がたくさんあるからです。
多くの上場企業の株価は「人気かどうか」で決まっています。
筆者は「100グラム130円の豚肉」を好んで買うのですが、株式市場には「豚肉100グラム1000円!」みたいな高い値付けの株式も多いです。
質が高く、割安な株を買えば、その株は右肩上がりに株価が上がっていく確率が高いです。しかし、質が高くとも、割高な株は人気が冷めると急速に株価が下がっていくものです。
人気な成長企業の株は驚くほど高価なものが多いです。「この株は高い。高いということは、きっと良い株なのだろう」と、どんぶり勘定で株を買うと、痛い目に遭いやすいので注意が必要です。
Q. インデックス投資だけを続けても上級者にはなれない?
そんなことはありません。インデックス投資だけでも投資がうまい人はいます。インデックス投資だけでも、平均以上に儲けている人もいます。そういう人は「スイッチング」がうまいです。スイッチングというのは、資産クラス(株式や債券、純金、不動産といった、資産の種類のこと)を乗り換えることです。
スイッチングがうまい投資家は、たとえば、株式市場が「過熱気味」なときには株式を売って、その他の資産クラス(債券や純金)に乗り換えることができます。
逆に、債券や純金が「過熱気味」になったら、今度は債券や純金を売って、その他の資産クラス(株式や不動産)へと乗り換えます。
とはいえ、筆者個人的には「インデックス投資だけでも上級者にはなれるが、個別株投資がうまくなるほうがうまみが大きい」と考えています。
インデックス型の投資信託よりも個別株のほうが、「明らかに割安」な銘柄が多いからです。
Q. 手軽に個別株投資を始める方法はないの? どうすれば“個別株デビュー”できる?
厳しいかもしれませんが、「手軽さ」を求めるのであれば、個別株投資はやらないほうが良い気がします。
個別株投資をしている株式投資家は「平均以上に儲けてやる!」とギラギラしている人ばかりです。そんな中で、「手間をかけたくない。でも平均以上に儲けたい」という人が勉強もせずに入ってきたら、あっという間にカモにされてしまうでしょう。
一方、持続的に努力できる人であれば、個別株投資には無限の夢があると思います。勉強すべきことは多岐にわたりますが、筆者の場合は以下のような事柄を勉強しました(まだ今も勉強中です)。
(1)会計知識……投資先の質を調べるために必要
(2)競争戦略の知識……投資先の質を調べるために必要
(3)業界の知識……投資先の質を調べるために必要
(4)投資価値の知識……配当割引モデルなど。投資先の割安性を調べるために必要
必要な知識を身に着けた上で、ぜひ“個別株デビュー”をしてみてください。