出会いの場は「職場」が最多
今回、興味深かったのは、「婚外恋愛相手とどこで出会ったか」について男女別・年代別に聞いているところだ。男女とも、出会いが最も多いのは「職場」で41.7%だが、男女別で見ると男性が46.6%、女性が38.1%。年代別では、職場での出会いは50代男性が54.4%と突出している。一方、女性では40代が46.5%。つまり職場での婚外恋愛は、50代男性と40代女性が多いということになる。 次に出会いが多いのは、「もともとの友人・知人」である。元カレ・元カノも含まれる。男性の30代・40代、女性30代が他の年代に比べて多い。
全体でみると、次は「趣味の活動」なのだが、僅差で「マッチングアプリやサイト」と続くのが今の時代ならではかもしれない。ちなみに女性の30代・40代では、趣味の活動よりマッチングアプリを使った出会いのほうがずっと多くなっている。
実際にアプリを使って出会い、婚外恋愛を続けている女性がいる。
「結婚しているのに……」とは思ったけれど
「結婚していながらマッチングアプリを使うなんてどうなんだろうと思っていたんです。ただ、最初は別に恋愛したかったわけではなく、男性の友人がほしかっただけ。夫がわがままで支配的で、ずっと我慢してきたんですが、これって本当に私が我慢すべきことなんだろうかと思うようになって。でも離婚したら子どもを育てていくのはむずかしい。だから男性に相談に乗ってもらいたかった」そう言うのはリサコさん(40歳)だ。結婚して11年、5歳年上の夫との間に8歳のひとり娘がいる。夫は娘には甘いが妻には厳しい。
「夫とは新卒で入った会社のサークルで知り合ったんです。年上でリーダーシップがあって素敵な人だと思っていた。私は部署が別でしたけど、あとから夫と同じ部署の人に聞いたら『リーダーシップはあるけど、ちょっと強引だったり、人の気持ちを考えないところもある』って。社内では秘密でつきあっていたので、私は夫の人となりがよくわかっていなかったのかもしれない」
結婚を機に転職したリサコさんだが、夫は結婚当初は優しいところもあった。ただ同居生活に慣れてくると、家事が完璧でないと文句を言われるようになった。
「帰宅すると、あそこが汚れている、ここが片付いていないと文句を言う。私も転職したばかりで精神的にいっぱいいっぱい。でも『オレは転職を勧めてない。自分が好きで転職したんでしょ』と言われてビックリしました。だってふたりで仕事をしていかなければ生活できないじゃないと言ったら、『やりくりするのが妻の役目』って」
そんなだから家事はほぼすべて、リサコさんがこなしてきた。子どもができたときは喜びはしたものの、臨月に入ってお腹がいっそう大きくなったときのこと。足の爪が切れなくなったので夫に頼んだことがある。すると夫は「え? 嫌だよ」とにべもなく言った。
「足の爪が妙に伸びたまま出産に臨み、陣痛の合間に助産師さんが切ってくれました。夫に頼んだけどやってくれなかったと愚痴っちゃったけど、たまにそういう人もいると……」
以来、子育てもひとりでこなし、苦しいときは実母に頼った。夫を頼ろうとは思わなかったし思えなかった。この時期、協力しあえなかったことで、夫婦の亀裂は決定的なものになったとリサコさん自身がわかっている。
「もう期待しないと決めていたけど、それでも娘のことや家の購入など相談しなければいけないことがいくつもあった。当然ですよね、一緒に家庭を築いているんだから。すべてにおいて私が折れてきて、今があります。娘に小学校受験をさせたかったけど夫は大反対、私は郊外に住みたかったけど夫はできるだけ便利なところに住みたがって、それも夫の言い分が通った。というより私が反論する気力を失っただけですけど」
同僚「男友だちを作ったほうがいいわよ」
和を大切にしたかった、特に家族の間ではとリサコさんは目を潤ませた。だが夫からのプレッシャーは日常的に続き、彼女はついに誰かに打ち明けなければいられなくなっていた。「仲良くしている同僚の女性が、『あなたも男友だちを作ったほうがいいわよ』と、マッチングアプリを教えてくれたんです。彼女は恋愛はしていないけど、マッチングアプリで男友だちができて息抜きになっているって。利害関係のない友人を作るならそれもいいかなと思って登録してみました」
それが1年前のこと。そして彼女は今年になってから、気の合う男性と会うようになった。夏前にはお互いの恋心が頂点に達し、深い関係を結んだ。
「お互いに真剣です。恋を恋として成立させている。夫を裏切っているわけではないんです。なにより私は彼とたまに会うことで、夫に対してイライラしなくなった。期待しなくなった。恋が楽しいから。もちろん他人には言えない、親しい友人にさえ言えない関係だけど、こういう生き方もある」
この先、どうなるかはわからない。恋を失うかもしれない。それならそれで、また前を向いて歩くだけ。彼女はそう言った。恋が彼女を強くした。