亀山早苗の恋愛コラム

「孫はまだ?」と要求したら“嫁”がキレた。結婚も、子どもを産むのも「人の義務でしょ?」

長女に20代で結婚しろと言い続け、嫁には早く孫の顔を見せろ、姑を尊敬しろと、まるで一世代前の価値観で生きているような50代の女性。子ども世代の全員と夫からも愛想をつかされてしまわないのか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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かつて女性たちは結婚し、子どもを産み、孫ができるのは当たり前だと受け止めていた。だが今は、結婚も出産も個人の選択。子どもたちに「孫がほしい」と訴えるのもお門違いというのが“常識”である。
娘、息子、嫁に電話しては煙たがられる

嫁に頻繁に電話するのも煙たがられている可能性が

子どもに「結婚しろ」と言ったら責められた

「どうしてですかねえ。人として生まれたら結婚するのが当たり前だと思っていたんですけど」

のっけから驚かせてくれるのはサエコさん(58歳)だ。30歳になる長女、27歳の次女はふたりとも独身。結婚する気もなさそうだという。

「私自身が結婚して仕事を辞めたことを後悔したこともあったから、娘たちには一生できる仕事を持ったほうがいいとは言ってきました。長女は、とある士業につきバリバリ働いています。次女も得意の語学を活かして仕事は順調みたい。ただ、私は仕事を持てとは言ったけど、結婚するなという教育はしてこなかったはずなんです」

長女には「20代のうちに結婚して」と求め続けたが、彼女は「おかあさん、うるさい」と29歳のときに家を出て行った。今は次女に結婚を要求しているが、まったく聞いてくれないと嘆く。

「次女に『他人の生き方に口をはさまないほうがいいよ』と言われて大ショックでした。娘は“他人”なの? 鬱々としていたら夫まで『娘たちだってもう大人なんだから、ひとりの人間として尊重してあげようよ』と言われて。人として普通に生きなさい、結婚しなさいと自分の娘にいうことがそれほど責められるのはどうしてなんでしょう」

結婚は「人として当たり前」なのか

彼女の“正義”は、娘たちにとっては迷惑でしかないのだろうが、彼女自身はそれに気づかない。それどころか「普通の」幸せを拒否する理由がわからないのだ。世代間ギャップと片づけてすむ話でもなさそうだ。

「長女の友だちもほとんど未婚、次女の周りは結婚する気配もないというんです。どうしてそれほど若い人たちが結婚を回避したがるのかわからない。『おかあさんだって仕事を続けていたら結婚したいなんて思わなかったんじゃない?』と次女はいっていましたが、私はやはり結婚してよかったと思ってるし、子どもを育てて幸せだったと思ってる。それと仕事を辞めた後悔、どちらかが大きかったかは今になると判断できないけれど。

そう言ったら次女が『幸せだったと思いたいだけでしょ。人間、自分を否定したら生きていけないから』って。私は精魂こめて自分を犠牲にしてでも子どもたちを育ててきたのに、そんな言われ方をするなんて……」

いちいち自分と比べなくても、私たちの生き方を見ていてくれればいいだけなのにと娘は笑いながら言ったそうだ。それもまたサエコさんを傷つけた。

>娘も娘ならば、嫁も嫁だと思っている
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