亀山早苗の恋愛コラム

「かわいくない女」は罪なのか?愛されないのか?「かわいい」は、どこか支配的なにおいがする(2ページ目)

「かわいげ」があって得をして生きていく女性がいるのにも何の問題もないし、無いからといって非難するべきものでもない。しかし、それを評価軸にしてしか人物を見ることができないような人もいまだ多い。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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今でも「かわいげ」と言われる

結婚した彼は、そのあたりのキヨコさんの性格をよくわかってくれている。彼女はどんなに困っても人に頼らず、自力で何とかしようとがんばることも、ときにめげそうになっても人前では元気を取り繕うところも。

「ただ、彼の母親はまったくわかってないと思う。先日も彼の実家に帰省したとき、義母が私に食事の支度を手伝ってほしいというので、『わかりました』と言って夫を呼びに行き、夫とふたりでキッチンに行ったんです。私だけよりふたりで手伝ったほうが早くすむでしょと言ったら、義母が『あなたっていう人は』と呆然としていました。『嫁なんだからとは言わせるな』と夫に吹き込んであるので、嫁なのにとは言われませんでしたが、ふたりきりになったとき『あなた、人からかわいがられないでしょ』と言われました。別にかわいがってもらえなくていいですと言っておきました」

とはいえ、彼女は「仕事上の恩人」「人生の恩人」などがいる。そうやって人を慕い、人から愛されてもいるのだ。ただ、無意味に人にすり寄ったりしないこと、筋を通すことは心してきたという。

「結局、人の言いなりにはなりたくないんです。でも世の中は、女性が目上の人や男性の言いなりになると『かわいい』と褒められる。それは違うでしょと思います」

かわいくない女性がいてもいいはず

素直であることと言いなりになることは違う。彼女は「自分」を大事に生きていきたいのだと言った。

「男性って頼られたい願望もあるでしょ。頼られることで自分の器が大きくなったような気になるんでしょう。私は頼らないから、下手すると一緒にいる意味がないと言われてもきました。でも私はどちらかがどちらかに頼る関係は好きではないんです。夫もときどき頼られたいそぶりをすることはありますが、私は自分のことは自分でできるからというスタンスでいます。自立したふたりだからうまくいくと思うんですが」

女はかわいくなければいけない。そんな世間の価値観が変わっていけばいいのにとキヨコさんは言う。かわいさを目指す女性がいてもいいし、そうでない女性がいてもいい。誰もがかわいくあろうとがんばる必要はない、と。

「その人はその人。かわいかろうがかわいくなかろうが、その人のキャラクターで勝負していけばいい。いつまでたっても、女性とかわいいという言葉が密接に関わってくるのがなんとなく違和感があるんですよね」

「かわいい」にいつまでも価値を置く必要はない。人は生きたいように生きていくのがいちばんなのだから。
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