月100円からでもOKな貯金術
読者の方から「スズメの涙程度の少ない金額しか貯金できないので、正直、やる意味が分からない。少額の貯金に意味なんてあるんですか?」というご質問をいただきました。本記事では、このご質問に対して、筆者の考えをお教えします。
月100円の貯金に意味はある?
まずは「始める」ことに価値がある
吹けば飛んでしまうような「ささやかな貯金」には、意味なんてないように感じます。「500円玉貯金」に代表される小銭貯金などが良い例ですね。筆者自身、「1回こっきり」の「少額貯蓄」に、大した意味があるとは思えません。しかし「継続的な」貯蓄となると、たとえ月100円でも大きな意義があると考えています。
理由は2つです。
1つ目の理由は、自動引き落としを使った定額貯金の「仕組み」を持つこと自体に価値があるからです。ある海外の研究によると、自動引き落とし形式の定期預金の口座を持つ人とそうでない人では、明らかに定期預金の仕組みを持つ人のほうが貯金がはかどったそうです(1)。
さいきんは、つみたてNISAなど節税効果も期待できる制度もあります。こういう制度に「とりあえずでもいいから申し込んでみる」ことには、それなりの価値があるはずです。
2つ目の理由は、少額だからこそ投資経験を積む「きっかけ」になるからです。
足元では物価が上がってきており、資産運用の必要性が高まっています。しかし、まだ日本では資産運用のなじみが薄いです。
知識も経験もないのに、いきなり「何百万円も投資する!」というのはリスクがあります。だから、少額のうちに多くを経験しておくと安心です。
投資にも技術があります。よほど洞察力がある人なら「いきなり達人」ということもありますが、ほとんどの人は投資を始めてから、厳しい世界で揉まれて日進月歩で技術を磨くものです。
この「経験」ばかりはお金では買えません。さいきんは月100円からでも積立投資が始められますから、「月100円で経験を買える」と考えると、安いものでしょう。
まとめ
要点をまとめると、少額でも貯金を始めたほうがいいとする理由は、◯貯める「仕組み」を持つこと自体に価値がある
◯少額だからこそ投資を始める「きっかけ」にできる
と言えるでしょう。
かくいう筆者も、まともに貯金を始めたのは大学1年生の頃でした。株を買うために、工場で働く深夜バイトに応募し、時給1000円すこしの給料をもらっていました。
「学生なんだから勉強しろ!」と言われたらグウの音も出ないのですが、それでもこの経験は有意義でした。
お金を貯めて、貯めたお金を投資に回す。投資とはつまり「自分のお金を他人に委ねて、儲かったお金の一部を配分してもらう」ことです。
はじめは数万円しか貯金できなかった筆者ですが、塵も積もれば山となり、いまではそれなりの資産を蓄えることができました。「やる」と「やらない」のでは大きな差があります。まずは「月100円から」でも始めてみてはいかがでしょう?
【参考文献】
- Nava Ashraf, Dean S. Karlan, and Wesley Yin, 2006, “Household Decision Making and Savings Impacts: Further Evidence from a Commitment Savings Product in the Philippines”, Yale University Evonomic Growth Center Discussion Paper, 939