そこで、2022年12月には発表された金融広報中央委員会の「令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査」から、50代の貯蓄額の平均と、その預け先を見てみましょう。
50代が保有する金融資産は平均1199万円
図は、世帯主が50歳代の家庭全体(=総世帯)と、2人以上世帯、単身世帯に分けた金融資産の保有額の分布と、平均額、中央値を示したものです。結果を見ると、50歳代の総世帯の貯蓄額の平均は、1199万円でした。このうち2人以上の世帯では、金融資産の保有額が平均で1253万円と、全体の平均額よりやや高めです。一方、調査の対象世帯を並べたときに真ん中になる金額=中央値は350万円で、平均額とはかなりの違いがあります。これは、平均額より低い貯蓄額の世帯のほうが、数は多いということです。
50歳代の単身世帯の貯蓄額は、平均で1048万円、中央値は53万円でした。どちらも2人以上の世帯よりも金額は低めで、特に中央値はかなり低い結果となっています。
いずれの数字も、金融資産非保有世帯=金融資産がゼロの世帯を含んだ数字です。
金融資産がない世帯は、2人以上の世帯では24.4%で、4世帯のうち1世帯。単身世帯では39.6%と全体の4割近くに上っているため、結果として、この貯蓄ゼロの世帯が平均額や中央値を押し下げています。
ちなみに、金融資産を保有している世帯のみで調べた金融資産の平均額と中央値は、以下の通りです。
●総世帯……平均1705万円、中央値780万円
●2人以上世帯……平均1684万円、中央値810万円
●単身世帯……平均1775万円、中央値610万円
金融資産がある世帯の平均額はいずれも1500万円以上で、中央値もすべて600万円以上となっていて、金融資産がゼロの世帯を除けば、貯蓄の保有額はぐんと多くなります。特に平均額では、単身世帯のほうが2人以上世帯を上回っているのが興味深いところです。
金融資産の中身は預貯金がトップ
次に、50代が保有している金融商品を見ていきましょう。2人以上世帯、単身世帯のいずれも、一番多いのが預貯金で90%以上、それ以外の商品は40%以下となっています。
2人以上世帯では、預貯金の次に多いのが積立型保険商品37.5%、株式31.4%、個人年金保険31.0%、投資信託26.3%となっています。
単身世帯では、預貯金の次は積立型保険商品25.1%、個人年金保険21.9%、株式20.5%、投資信託19.4%という順です。2人以上世帯と比べると、どの金融商品の保有比率もやや低くなっています。
50代では貯められる人はしっかり貯蓄をしていて、貯蓄がゼロという人との差が開いているようです。元気に働ける50代のうちに、収支の管理や働き方などを見直して、将来のための貯蓄をしっかり増やしていきたいものです。
記事協力:インタープレス