適正株価の見積もり方とは?
実は、株式には「適正株価」というものがあります。この「適正株価」と今の株価を比べることで、株式市場が、その株式のことをどう評価しているのか?が分かります。つまり安く買いたいのであれば適正株価について知っておく必要があります。
本記事では、経済産業省のレポート(通称:伊藤レポート)を参考にしながら、株価を分析するコツをまとめます。
ずばり結論:適正株価は「持続可能な益回りが8%となるライン」
単刀直入に、適正株価の見積もり方からお話しします。ずばり、適正株価は「持続可能な益回りが8%となるライン」です。益回りとは、1株当たり純利益を株価で割ったものです。この指標が8%を超えるとその株価は割安と判断できます。
たとえば、1株あたり100円の利益を出している会社があるとします。
この会社の株価は500円です。
このとき、同社株の益回りは「100÷500=0.2=20%」となります。
仮に、株価500円でその会社をまるごと買収した場合、益回りが20%だと「5年で元を取れる」計算です。
利益の見通しが変わらないかぎり、益回りは高ければ高いほど投資の元を早く取れます。投資家が求める益回りは「8%」が目安ですから、益回りが20%というのはかなり割安に見えます。
2014年に公開された伊藤レポートによると、株式市場では「益回りが8%を超えるかどうか」が、PBR1倍のボーダーラインになるそうです。
詳しい理屈はさておいて、世の中の投資家は「年間8%以上のリターンを求めている」と、ざっくり覚えておくとよいでしょう。
たとえば、これから毎年8億円の純利益を稼ぎそうな会社を100億円で買収できれば、「1年あたり8%」稼げます。
これを「適正水準」としたうえで、いまの株価が安いか?高いか?を判断するのがよいでしょう。
PERを使って成長性を探る
ちなみに、「1年8%のリターン」というのは、投資元本を純利益で取り返すのに12.5年かかると言い換えることができます。この「投資元本を純利益で取り返すのに必要な年数」のことを、投資用語でPER(株価収益率)といいます。
この適正ラインが機能した2005年~2016年では、日本のGDP(国内総生産)が2%くらいずつ成長していました。
だから、2%くらいの緩やかな業績成長が見込める会社であれば「PER12.5倍が適正ライン」と見積もることができます。
しかし、現実の株式市場を見ると、PERが5倍の株もあれば、PERが100倍を超える株もあります。どうしてでしょうか。
その理由は、会社によって成長性が違うからです。
たとえば、これから数年で利益が20倍にも30倍にも伸びる見込みがある会社もあります。こういう会社はPERが100倍を超えても適正です。
逆に、これから利益が半分以下に減る見込みの会社もあります。こういう会社は、PERが5倍でも適正です。
株価の適正ラインは一時的な利益ではなく、「将来も含めて持続可能な純利益」によって決まるということです。
実際の株式投資では「PER12.5倍」という適正ラインと、実際のPERを見比べて投資判断を下します。
PERが100倍の株を見つけたら「株式市場が期待する以上に成長できそうか?」を考えて、安いか高いか判断します。
同じく、PERが5倍の株を見つけたら「株式市場が想定するほど業績が落ち込みそうか?」を考えて、安いか高いか判断します。
評判以上にリターンが高そうな会社を見つけたら買い、評判よりもリターンが低そうであれば見送る……というのがよいでしょう。
まとめ
要点をまとめると、◯世の中の投資家は年間8%以上のリターンを求めている
◯年間8%のリターン=12.5年で元が取れる(PER12.5倍)
◯現実のPERは、企業の成長性によって千差万別である
◯本当に安い株は、評判と比べて成長性の高い株である
という4点に集約できます。
いささか難しい話が続きましたが、株価の適正ラインを知るうえでとても大事なことをまとめてあります。
自分が買おうと思っている株が「割安か?」「割高か?」が分からないとき、今日の記事が参考になれば幸いです。
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