新規採用が少ないという現実、そして企業規模間の格差
多くの学生が大企業への就職を希望する。でも現実はそうはいかない。2020年代の今は、いわゆる名門大学卒、取得資格多数、学業成績及び学外活動(ボランティア等)優秀、留学経験有り、といったハイスペック学生でも、大企業への入社は狭き門だ。それどころか、中小企業も含め、何十社も不採用となることだって珍しくない。特に大企業は新規採用はせず、経験者優遇の随時採用が多い傾向にある。いわゆる大企業就職を目指して、多くの資格を取得し、さまざまな能力を身につけてきたのに、希望する会社はキャリアまで求めてくるのだから、新卒学生たちはそもそもスタートラインにすら立てないことだってあるのだ。
韓国経営者総協会が実施した「新規採用実態調査」を基に発表されたある記事によれば、韓国の10大大企業のうち、2023年新規募集があるのは3社のみだという。筆者が彼らの世代なら、もう「なんなんだよ、この世の中!」と愚痴ることは間違いない。実際に韓国の若者の多くがこの状況にじれったい思いでいるわけで。本当に厳しい現実だ。
公企業も政府の財政緊縮調整により、採用を大幅に減らす傾向にある。人気のスタートアップもコロナ禍で資本難に陥っている会社が少なくない。だからそもそも採用は減りがちだ。そんな状況下でも、より条件の良い企業、大企業就職希望の傾向は変わらないのだから、競争はますます激しくなるばかりだ。
でも、彼らのその気持ちはよく分かる。何といっても大企業と中小企業では、給与格差が明白なのだから。大企業の平均所得は563万ウォン、中小企業は266万ウォン。20代だけで比較すれば、大企業勤めの20代は321万ウォン、中小企業勤めは201万ウォン。歴然とした差がある。
さらに、大企業の20代と中小企業の50代を比較してみると、前者は321万ウォン、後者は291万ウォン。つまり、中小企業にいる50代より、大企業にいる20代の方が高所得というわけだ(※1)。中小企業に就職した若者が大企業への転職を希望し続けるというのも頷ける。
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