ところがアラサー女性たちに聞くと、「情熱的な恋ねえ」とどこか冷ややかだ。「恋に命かけてどうなるんですか」と苦笑する女性もいる。
「情熱的」な恋について、近ごろのアラサーに話を聞いてみると……
人生のごく一部ですよね?
未婚既婚にかかわらず、避けることができずに泥沼にはまりこむような恋をした経験者は存在する。かつてはそんな恋に憧れる人たちもいたものだが、今はほとんどいないのかもしれない。「そもそも恋を避けることができないという言い方もよくわからない。そんな情熱だけで盛り上がるような恋って、続くわけがないと思う」
そう言うのはナオコさん(31歳)だ。高校時代、片思いをしたのが「つらい恋」の思い出だという。学生時代に友人のひとりと付き合ったことはあるが、「恋は現実」だと考えてきた。
「ここ数年はマッチングアプリで相手を見つけています。半年付き合った人がいるけど、彼は夜中に電話をかけてきて『これから会いたい。行ってもいい?』なんて言うんですよ。『それほど好きなんだ』と言われて、最初はちょっとうれしかったけど、それを何度もやられると仕事にも支障が出てくる。明日の会議の準備をしているときにメッセージが来て、返さないと電話がかかってくるし。この人と付き合っていると、自分自身の生活が阻害されると感じたので別れました」
ナオコさんは、彼をそれほど好きではなかったのかもしれないとも思えるが、出会ったころは彼女のほうが彼に夢中になっていたのだという。
「夢中にはなっていたけど、しつこく連絡したりはしていません。人に対する情熱って、出せば出すほど実らない気がする。すごく好きでも、あえて気持ちを抑えるのが人に対する礼儀なんじゃないかなと思うんです」
情熱を燃やし合う恋愛は不毛だとさえ彼女は言った。あくまでも自分の人生の中で、恋愛はほんの一部に過ぎないのだから、と。
>相手とのパワーバランスを意識する人も