なぜ、いま純金積立が人気なのか?
早速本題へ移りましょう。なぜ、いま純金積立が人気なのでしょうか。これには、2つの理由が挙げられます。1つ目の理由は「インフレ対策になる」ことです。
一般的に、貨幣は国が自由に印刷できるという性質上、流通量が増えるとともに価値が薄れていきます。
たとえば、日本でもバブル崩壊前まで物価が上がっていました。吉野家の牛丼も、1965年までは120円でしたが、1990年には400円になりました。25年で価格は「2倍以上」になっていたのです。これは、言い方を変えると「日本円の貨幣価値が25年で半分に減った」ということです。
貨幣価値は、時間とともに薄れていくのが一般的です。
貨幣価値が下がるとき(=物価が上がっているとき)は、現金を持つのがとても不利です。だから、現金のかわりに「流通量に限りがあるモノ」を持つことで、資産の目減りを防ぐことができます。
純金は、インフレ対策として有効な避難先の1つです。国が自由に印刷できる貨幣と違って、純金は埋蔵量に限りがあり、流通量を増やすことはできません。
近年、日本でも年2~3%ずつ物価が上がってきています。貨幣価値の希薄化を受けて、「いずれ価値が目減りする現金を持つより、純金を持っていたほうが安全だろう」と考える人が増えて、純金積立の注目度が高まっていると考えられます。
2つ目の理由は「不景気に強い」ことです。
インフレ対策の選択肢は、純金だけではありません。債券を買って金利を受け取ったり、株式を買って配当を受け取ったりすることでも、資産価値の目減りを防ぐことができます。
これらの投資商品には一長一短があり、それぞれ「どんなときに買うと有利か?」が違います。
株式は景気が良いときには価値が上がりますが、景気が悪くなると価値が下がります。だから、景気の見通しが良いときには優れた投資先ですが、悪いときには劣後します。
一方、債券と純金は好景気に価値が上がらないものの、不景気に強いです。不景気がきそうになったら、金利やインフレ動向を見ながら、どちらを買うか考えたいところです。
たとえば、いま債券の中でも日本の10年国債の金利は年0.3~0.5%程度と低いです。しかし、物価はそれ以上のペースで年2~3%ずつ上がっています。つまり、国債を買って金利を受け取ったところで、インフレに負けていて焼け石に水です。
そう考えると、「不景気に強い投資商品を買いたい。でも、国債を買ってもインフレに負けてしまう。だったら、国債を買わずに純金を買って不景気に備えよう」と考える投資家がいてもおかしくありません。純金積立が人気なのは、こういった背景があるからかもしれません。
まとめ
要点をまとめると、いま純金積立が人気な理由は、(1)「インフレ対策」として有力な投資商品だから
(2)「不景気への備え」として有力な投資商品だから(特に、低金利のとき)
の2点に集約できそうです。
インフレが定着すると、現金を持つことがリスクになります。株式や債券や純金。こういった投資商品をうまく組み合わせることで、私たちの財産の目減り防止が期待できます。インフレに備えたい方は、資産の一部を純金に振り分けてみるのも、アリかもしれません。
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