冷房をつけっぱなしにする場合と、こまめに切る場合、どちらが電気代は安くなる?
電気機器の中で、一番電気を使うのは……?
夏場には必須のエアコン。実はエアコンは、さまざまな電気機器の中でも電気の使用量が高くなる傾向にあるのはご存じでしょうか。経済産業省の資源エネルギー庁の調査によると、暑さのピークとなる夏の昼間(14時頃)の在宅世帯の電気使用量のうち、エアコンの電気使用量は最も高く、全体の約6割をも占めています。電気代はどのように計算されている?
そもそも電気機器の電気代はどのように計算されているのでしょうか。電気機器の電気代は「1時間あたりの消費電力(kW)×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)」という計算式で算出されます。消費電力とは、電気機器を動かすために必要な電力がどのくらいかを示すもの。単位は「W(ワット)」ですが、数字が大きい場合はkW(キロワット)で表記されます。この消費電力は製品によって異なります。自宅のエアコンの消費電力については、本体や取扱説明書などに記載されている「消費電力」の項目を見れば確認することができます。
また、1kWあたりの料金単価についても契約している電力会社やプランによって異なるため、検針票などで確かめましょう。
ちなみに、全国家庭電気製品公正取引協議会の提示する電力料金の目安単価は1kWあたり31円/kWh(税込)。この金額で計算すると、消費電力が800Wのエアコンを1時間使用したときの電気代は0.8kW×31円/kWh=24.8円となります。
ここから、1カ月にかかるエアコンの電気代の目安を把握することができます。たとえば、消費電力が800Wのエアコンを1日5時間、1カ月のうち20日間使用したとすると……
0.8kW(消費電力)×100時間(使用時間)×31円/kWh(料金単価)=2480円
となります。
「つけっぱなし」「こまめに切る」どっちがお得?
では、電気代の計算方法をおさえたうえで、エアコンの冷房をつけっぱなしにする場合と、こまめに切る場合とで、どちらが電気代がかかるのかを見ていきましょう。通常エアコンは、外気温と設定温度の差が大きい稼動直後に最も電力を消費し、設定温度に到達すると消費電力が小さくなります。したがって、「つけっぱなし」のほうが消費電力を抑えられると考えられがちです。 しかし、家電メーカー各社の調査、検証によると、「つけっぱなし」と「こまめに切る」どちらが消費電力がおさえらるかは、時間帯や環境によって異なるという見解になるようです。
たとえば、パナソニックのプレスリリースによると、室温が上昇しやすい猛暑日などであれば「つけっぱなし」は効果的ではあるが、室内温度がそこまで上がらない環境であれば「こまめに切る」ほうが電気代節約につながるとしています。
またダイキンも同様の検証を公表しており、日中は冷房を「つけっぱなし」にするほうが消費電力量は少ないという結果の一方、夕方~夜間は「つけっぱなし」にするほうが「こまめに切る」より消費電力量が大きいという結果とのこと。
これらを総合すると、外気温が高い日中の場合、設定温度との温度差がより大きくなるため「こまめに切る」と、その分起動する回数が増え、それにともなって消費電力量も大きくなる一方、外気温が低下する夜間などは、「こまめに入り切り」した場合の起動時の消費電力量が小さくなると推察できます。
外気温や環境による! 臨機応変に節約を
「エアコンはつけっぱなしの方が電気代が安く済む」と言われることがありますが、つねにつけっぱなしにしてよいというわけではありません。より効果的に消費電力を抑えるためには、外気温や時間帯、住環境にあわせて「つけっぱなしにする」「こまめに切る」を使い分けるといった、臨機応変な対応が重要だと言えそうです。また、こうした検証から推測できるように、「室内温度を上げないように工夫をする(断熱効果のあるカーテンを使うなど)」「室内の熱を逃がしてから冷房を起動させる」といったことも、節約につながるのではないでしょうか。
ちなみに、コンセントを抜くことでもエアコンの電気代は抑えられるケースもあります。というのも、電源を切っていても、コンセントを挿しているだけで待機電力がかかるため。エアコンを使わないオフシーズンや長期間留守にするときなどは、コンセントから電源プラグを抜いておくとよいでしょう。ただし、タイマー予約などを設定している場合は、電源をオンにする際に忘れずに再設定するようにしましょう。
(監修:酒井富士子/経済ジャーナリスト・オールアバウトマネーガイド)