Q:雇用保険料が引き上げられたとのこと、会社員への影響は?
「令和5年(2023年)に雇用保険料が引き上げられたとのこと。会社員の私には、どんな影響がありますか?」(会社員・30代)雇用保険料の引き上げ、会社員にはどんな影響が?
A:雇用保険料が増えれば、手取り給与が減ります
2023年(令和5年)4月に雇用保険料が引き上げられました。雇用保険料が上がると、給与の手取り額は減ることになります。今回の雇用保険料の引き上げによって、手取り額がどれくらい減ることになるのかを説明します。2023年(令和5年)4月以降の雇用保険料率は1.55%~1.85%(15.5/1000~18.5/1000)、そのうち手取り額に影響する労働者の負担は0.6%~0.7%となっています。
引き上げ前の雇用保険料率は1.35%~1.65%(13.5/1000~16.5/1000)、うち労働者負担は、0.5%または0.6%でしたから、雇用保険料の労働者負担は、0.1%増えたということになります。 実際に、労働者の負担がいくら増加したかを計算してみます。
雇用保険料は、給与総額(通勤手当や住宅手当なども含む)や賞与に、雇用保険料率を掛けることで求められます。
計算式:雇用保険料=給与総額または賞与額×雇用保険料率
(計算例)
・2023年(令和5年)3月まで:一般の事業労働者(労働者負担分の料率は0.5%)の給与総額が40万円……
40万円×0.5%=2000円
・2023年(令和5年)4月以降:労働者負担分は0.6%……
40万円×0.6%=2400円
給与総額が40万円の人は、雇用保険料が400円増える、つまり手取りが400円減ることになります。
これまでの雇用保険料の変遷を見ると、新型コロナウイルス禍の財政不足によって、直近2年間保険料率の引き上げが続いています。
2005(平成17)年……雇用保険料率:1.95%、うち労働者負担:0.8%
2010(平成22)年……雇用保険料率:1.55%、うち労働者負担:0.6%
2021(令和3)年……雇用保険料率:0.9%、うち労働者負担:0.3%
2022(令和4)年10月……雇用保険料率:1.35%、うち労働者負担:0.5%
2023(令和5)年4月……雇用保険料率:1.55%、うち労働者負担:0.6%
雇用保険の財政状況が改善すれば、これ以上の大きな引き上げはないはずです。雇用保険料の引き上げに過度な心配はせず、少し関心を持っておく程度でよいかと思います。
【参考資料】
厚生労働省「令和4年度雇用保険料率のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/000921550.pdf
厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/001050206.pdf