また、投稿されている内容の真偽が判断されないまま、誤った情報がシェアされ、拡散されていることもあります。今回は、筆者がSNSで見かけて「これは危ない」と思った掃除方法をご紹介します。
NG家事1:家電に直接スプレーする
家電を掃除している動画でよく見かける、スプレーを直接家電に吹きかける行為。これはNGです。電子レンジなどの精密機器の中には、本体に小さな穴が空いており、その奥に機械のような部品が入っているものもあります。濡れてはいけない部品が入っている場合もあるのです。
冷蔵庫の扉のように、明らかに平面で何もないと分かっているもの以外は、スプレーを直接吹きかけるのはやめましょう。布やスポンジなどに適量をスプレーし、それを使って拭き掃除をすると安心です。
NG家事2:「まぜるな危険」の洗剤をまぜて使う
不思議なことに、SNSで見かける洗剤の種類は決まっています。キッチンハイター、サンポール、ウタマロ、パストリーゼ等の投稿をよく目にします。もちろん、これらの洗剤は昔から使われている、とても優秀なものばかりです。しかし、洗剤自体は優秀でも、使い方を間違えると危険になるものもあります。それが、「まぜるな危険」とパッケージに大きく書かれている洗剤類です。先ほどの例でいうと、キッチンハイターとサンポールがこれに当たります。
「まぜるな危険」と大きく書かれているのに、SNSではまぜて使っている人を見かけます。塩素系の洗剤と酸性の洗剤がまざると有毒なガスが発生し、命に係わる重大な事故にもなりかねません。「まぜる」というのは手元で調合して使うという意味だけではなく(もちろんそれもNGですが)、塩素系の洗剤を使った上で、酸性の洗剤を使うということも該当します。
サンポールやキッチンハイターでトイレ掃除をした上で、さぼったリングを使っている投稿をよく見かけますが、これらは絶対に併用してはいけないので注意してください。
NG家事3:トイレの壁にクエン酸スプレーをする
トイレ掃除の際に、壁にクエン酸スプレーを吹きかけている投稿も多く見かけます。おそらく尿汚れはアルカリ性なので、それを落とすために酸性のクエン酸がよいという意味合いで使っているのでしょう。しかし、クエン酸スプレーを直接壁に吹きかけると、壁紙がシミになる可能性があります。タイルなどであれば問題ありませんが、壁紙の場合は何度も吹きかけている間に黄色くなってしまうのです。
壁紙は、水で濡らして絞った雑巾などで拭き掃除をしましょう。どうしてもクエン酸を使いたい場合は、吹きかけたあとにしっかりと水拭きをし、乾燥させることをおすすめします。
正しい用途で使い、安全で効果のある掃除を!
間違いではないけれど、その洗剤をここに使う必要はないのでは?という投稿もよく見かけます。例えば、「パストリーゼ」をキッチンや浴室のカビ落としに使っている投稿。カビが落ちたとしても、それはおそらくパストリーゼを吹きかけたあとに擦っているスポンジの摩擦の力によるものでしょう。
パストリーゼ自体はアルコール度数77度の優秀な消毒用アルコールで、まな板や包丁などの除菌、抗菌に使えます。また排水口や三角コーナーの生ゴミに吹きかけることで腐敗を防止し、防臭効果も期待できます。
しかし、「毎日の掃除にそこまで使わなくてもいいんじゃない?」と思うほど多用している投稿をよく見かけます。パストリーゼに限りませんが、意外とスポンジでサッと拭くだけで落ちる汚れはあるものです。
また、茶渋汚れを漂白したり、排水口のぬめりを一発で取ってくれる「キッチンハイター」をトイレや浴室の掃除に使っている投稿もよく見かけますが、こちらも専用の洗剤を使うことをおすすめします。
キッチンハイターはアルカリ性で、塩素系の次亜塩素酸ナトリウムが使われています。使用上の注意に「換気扇を回す等、必ず換気する」「炊事用手袋、目の保護に眼鏡等を着用する」「用途外に使わない」とあるように、とても強い洗剤なので、シンク等に触れた場合は30秒以上流水で洗い流す必要があるのです。使うのであれば、このようなことを理解した上で使うようにしましょう。
繰り返しになりますが、今回ご紹介した洗剤類はどれも優秀で、製品の説明に書かれている通りに使えば、安全で効果の高いものです。SNSのお役立ち投稿を真似したくなる気持ちも分かりますが、ぜひ正しい情報かどうかを確かめて、安全で効果のある掃除をしてください。