65歳以上は入院リスクが高まる
最近では、シニアになっても元気な方が多くみられますが、65歳以上になると病気などで入院するリスクは高まります。というのは、厚生労働省調べの『令和2年(2020)患者調査の概況』では、入院総数1211万3000人のうち、65歳以上が904万9000人と、約75%を占めていることからも分かります。・厚生労働省『令和2年(2020)患者調査の概況』
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/suikeikanjya.pdf
おひとりさまであれば、頼れるのは自分だけ。老後、入院することなどを考えれば、医療保険の見直しを検討したくなる場合もあるでしょう。
今回は、実際の平均入院日数などを確認しながら、医療保険を見直すときに注意したいポイントをまとめます。
今入っている医療保険でも対応できる場合も
厚生労働省の「令和2年(2020)患者調査の概況」で、65歳以上の傷病別の平均入院日数を確認してみましょう。入院が長期化となる上位3つの傷病は以下のとおりです。【傷病分類別平均在院日数:65歳以上で長い順】
【1】精神及び行動の障害:497.1日
【2】神経系の疾患:118.6日
【3】循環器系の疾患:45.8日
精神的な障害や神経系の疾患を発症した場合は、特に入院期間が長くなることが分かります。しかし、65歳以上の全ての傷病の平均在院日数は40.3日となっています。もし、現在契約している医療保険が1入院60日型であればある程度は対応できるのではないでしょうか。
さらに65歳以上の方は、一般的に次の3つの理由で、わざわざ医療保険に入る必要がないかもしれない、と思いがちです。
【1】年齢的に病気になる確率が高いため、保険料が高くなる
【2】医療保険の告知で健康状態に問題があれば「緩和型」で検討することになる。緩和型は、通常よりも保障内容が少なく、保険料が高くなってしまう
【3】70歳以上から高齢者医療制度により自己負担額が2割になり負担が減る(ただし、現役並み所得者は3割)
以上のことも踏まえて、本当に医療保険の見直しが必要なのかを考えてみましょう。
老齢年金が少ない人が、検討したい2つの保険とは?
もし、現時点で入院した場合の日額5000~1万円、手術の保障がついた医療保険に加入しているのであれば、さらに、新たな医療保険を検討する必要はないといえます。しかし、自営業やフリーランスをしていた方は65歳からもらえる老齢年金が、老齢基礎年金(国民年金)だけです。また現役時代に会社員として働いていた人は老齢厚生年金がもらえますが、過去にアルバイトや非正規雇用の期間が長い人は、もらえる老齢厚生年金額が少ない場合もあります。
高齢者医療制度によって老後に負担する医療費は減りますが、医療保険に上乗せを考えるとしたら、以下の2種類の保険があります。ただし、現役並みの所得者は減らない場合もあるため、ここでは自己負担額2割の方を対象にしています。
●がん保険
一生涯のうちに2人に1人ががんになるといわれており、高齢者になると、そのリスクは高くなります。また、がんの治療は、入院ではなく通院で行えるものが増えています。そのため、がん治療に特化したがん保険の方が、診断一時金や通院給付金などの保障が充実しています。
●介護・認知症保険
厚生労働省の「認知症施策推進大綱」によると、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症と見込まれています。さらに、内閣府による「2017(平成29)年版高齢社会白書(概要版)」によれば、2025(令和7)年には約5人に1人になるとの推計もあります。
認知症は患者によって症状などが異なるため、入院が必要になるケースもあれば、ならないケースもあり、入院期間もバラバラです。
しかし、入院が長期化するリスクを考えれば、介護・認知症保険を検討するとよいでしょう。
所定の認知症と診断されたときや、公的介護保険制度の要介護1以上と認定されたときにまとまった一時金などが受け取れるタイプのものもあります。
もし、がん保険、介護・認知症保険の加入を検討する場合は、どんなときに保険金が給付されるか慎重に確認しましょう。