お金持ちが節約しない理由は、人生を上質にするため?
先日、筆者の出版記念パーティーに知人の富裕層(同じく著者仲間ですが、コロナに関係なく皆ガンガン稼いでいます)を招いてパネルディスカッションをしました。お金持ちが節約しない理由って?
その理由の一つに「自分の人生を上質にするため」というのがありました。
たとえば外食する際、イライラしている人がいるような格安の店に行けば、自分も貧相な気分になる。しかし上質な店に行けば、来ている客も上質な人が多いため、穏やかな気持ちで食事を楽しめると言います。
外食の目的のひとつに、確かに早く・安く・簡単にというのもあると思いますが、大切な人と満ち足りた時間を過ごすという目的もあるので、やはりお金をかけたいとのことです。
あるいは着る洋服も、上質なものを選べばやはり気分が違うし、前向きな気持ちで過ごすことができる。当然ながら人からの見られ方も変わる。それに良いものゆえに長く着続けることができ、結果として安上がりになることもある。
もう一つの理由に「経験にお金を使いたいから」という回答もありました。
彼らは国内外を問わず飛び回っていますが、旅の経験だけでなく、海外で講演して現地の人と交流するとか、仕事かプライベートかを問わず、自分の幅を広げようとしています。
そしてそれが自分をバージョンアップさせてくれ、商売のコンテンツになるということです。
筆者は投資家としての一面もあり、そもそも投資が好きなので株や不動産を買っていますが、著者・事業家である彼らはそういうものにはほとんど興味がないとのことでした。
お金は金融商品などで運用するものではなく、投資すべきは「自分自身」という考えからです。これも前述の「経験にお金を使う」ことにも通じます。
若いころからFIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的自立と早期リタイア)を目指してケチケチ節約しては投資信託などにお金を投じるという生活をしていると、自分の能力向上がおろそかになる。
それよりも自分に投資して自分の価値を上げれば、自分の目の前に立ちふさがる問題のほとんどを自力で解決できるようになるし、高い報酬が得られるようになる。そうなれば節約しなくても勝手にお金が貯まるようになる。
それを聞いて、筆者も「なるほどなー」と思いました。
筆者も人生には「種まき期」と「収穫期」があると感じています。
種まき期は「10代の勉強」と「20代・30代の仕事」であり、たとえば10代は塾や予備校、問題集などに投資をします。勉強を通じて脳をいろんな方向から刺激を与えて鍛え、高性能な頭脳を作るわけです。
20代・30代は仕事に必要な、たとえば専門誌の購読や読書、パソコンなど仕事の道具、ビジネススクールや英会話教室などに投資をします。これらは知識・スキル・能力に投資をしているわけです。
こうして高いレベルで実力をつければ、人よりも高度かつ高付加価値な成果が、人よりも少ない時間で出せるようになる。これが40代以降にやってくる「収穫期」です。
翻って冒頭の富裕層の知人友人に話を戻すと、彼らも若いころからたくさんの種をまいてきたからこそ今収穫できているわけで、そして今もなお新しい種をまき続けていますから、これらも何年後かには収穫期を迎えるのでしょう。
むろん無駄な支出は削減すべきだとは思いますが、自分への投資は節約してはいけないように思います。