亀山早苗の恋愛コラム

実家住みの男性と結婚するのは本当に「危険」なのか?30歳女性が数カ月かけて検証した結果(2ページ目)

都内の会社に実家から通勤している彼との結婚を考える30歳の女性。周囲からは「危険では?」「大丈夫なの」などと難色をしめされることが多い。そこで彼女は、半年先のマンション更新に向けて、その真偽を検証してみたのだという

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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冷静に考えてみると……

彼はごく普通の会社員だ。便利がいいし家賃がかからないからという理由で、実家に住んでいる可能性も高い。だから実家住まいが問題なのではなく、結婚したら彼がどんな家庭を作りたいと思っているのか、それを探るほうが早いのではないかとノブヨさんは考えた。

「ふたりで賃貸物件を探しているとき、彼が『ここ、けっこうキッチンが広いよ。これなら料理しがいがあるんじゃない?』と言ったんです。『お互いにね』と言ったら、彼が『え?』と言ったんですよ。

そこから、一緒に住んだらどういう生活をイメージしているのと尋ねると、『オレ、残業多いけど、なるべく早く帰るよ。おいしいものが待っていたらうれしい』とノーテンキなことを言い始めたんです。料理は私の担当なの? 私、料理あまり好きじゃないんだけどと言うと、『好きなんだと思った』って。好きに見せかけていた私も悪いけど……。

洗濯はどうするの、掃除は誰がやるのと聞いていったら、彼、自分がやるイメージはまったくもっていなかった。何のための同棲なんだろう。私の負担が増えるだけだよねというと、『いや、オレもやるよ』と前向きな意見は言うんだけど、やっぱり家事自体、やったことがないんですよね」

ご飯炊ける?と聞くと彼は小さく首を振った。そんな彼と一緒に住んでやっていけるのだろうか。ノブヨさんは考えた末、彼との同棲を延期することにした。それが今年の初めのできことだった。

「以来、彼との付き合いは続いていますが、彼が家事をやるようにしているという話は聞きません。やはり実家がいちばん居心地がいいんでしょうね。そりゃそうですよ、私だって家事は誰かにやってほしい。

でもひとり暮らしは誰もやってくれないから、仕事で遅く帰ってきたって洗濯機を回さなければならないこともあるし、風呂掃除をしなくちゃいけないこともある。食事だって毎日外食やコンビニ弁当じゃ飽きるから、たまにはご飯を炊いて焼き魚が食べたいなんてこともある。食べればお皿を洗わなければならない。生活ってそういうことなんだなと私自身も改めて思いました」

おそらく家事をやってくれる人がいれば、自らやりたいと思う人は少ないだろう。些細なことを毎日繰り返すのが家事なのだ。そしてやらなければ生活は成立しない。外注すればとんでもない価格になるのに、自分でやっても誰も褒めてはくれないものだ。

「彼は自分がマザコンだと思われたくないんでしょう、家にいるときは食事以外、ほとんど自分の部屋にいると言ったことがあります。それこそ友人の言う“こどおじ”じゃないですか。今までひとりで暮らそうと思ったことはないのかと聞いたら、ひとりで暮らす意味がわからないという答えが返ってきました。都内に実家があって都内の勤務先に通うなら、確かに出る意味はないのかもしれない。でも生活力という意味では、やはりひとり暮らしをしたことのある男性とは違いますね」

とはいえ、音楽や好きなアーティストが一致する彼と過ごす時間は楽しいし、話もはずむ。しばらくはこのままでいいとノブヨさんは考えている。

「同棲や結婚を考えなければ、彼とはうまくやっていける。私が子どもがほしいと真剣に思って結婚したいとなったとき、彼を選ぶかどうか、彼がどう変わろうとしてくれるか。そこがターニングポイントになりそうです」
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