「やることがあるなら言ってよ」
子どもとは遊ぶが、家のことはしないという夫はやはり多いよう。しかも「自分の気の向いたときだけ少し手を出し、“やった気”になっている」と妻たちからは辛辣な声が飛んでいる。「うちの夫はなんでも中途半端に手を出すんですよ。食器洗っておくよというから任せていたら、鍋は洗ってない、テーブルは拭いてないとか……。指摘すると『あ、忘れた』って。私がフォローすると思ってるから、最後までやらないんだよね?というと逆ギレする。始末に負えない」
シノブさん(43歳)は厳しい口調でそう言った。しかも、それらはすべてシノブさんが「やってくれないかな」と水を向けてやってもらっている状態。夫が率先してやっているわけではないという。
「もう頼むのもめんどうになりました。そもそも、どうして私が頼まなければいけないのかもわからなくなって。あるとき、ため息をつきながら家事をしていたら、『なんだか辛気くさいからため息、やめてくれない?』と夫が言うんです。『私もフルタイムで働いて疲れてるんだよ。帰ってきてから全然座れないんだから』と言ったら、『やることがあれば言ってよ。手伝うからさ』と。根本的な考え方が間違ってると思うと告げると、『あー、もうめんどうくさい話はやめてよ。言えばいいんだよ、やってやるよ』と言われて崩れ落ちそうになりました」
過去、家事分担を日替わりにするとか、内容によって分担するとか決めようとしたこともあったが、結局、夫がやりきらないのでシノブさんがやるしかなかった。決めただけ腹が立つため、なし崩しに分担制度はやめたとそうだ。
「家事ってやらなければならないものなんですよね。皿を洗わずに明日になって、別の皿を使ったらもっと大変になる。だから日々、今日の分を片づけていかなければ前に進めない。12歳と10歳の子どもたちの洗濯物は日々増えていく。ためておくわけにはいかない」
確実に片づけ、また新たな日々を迎え、また片づける。シノブさんの家庭の場合、日常生活とはそういうものだとわかっているのが妻、そこを見落としているのが夫と言えるのかもしれない。
家事は誰がやるべきなのか。本来は、家庭を維持しているメンバー全員なのだろう。子どもも年齢を重ねれば分担できるはず。そうやってみんなでやっていかない限り、誰かにしわ寄せがいってしまう。
「うちはどうやっても話し合えないみたいだから、この先、もっと便利な家電を買えるようにがんばるしかありません」
シノブさんは苦笑しながらそう言った。