Q. 「ビワの種ががんに効く」って本当ですか? 危険という人もいるようですが……
「ビワの種ががんに効く」という説、安易に信じるのは危険です
がんの治療法として、さまざまな民間療法や体験談が広まることがあります。「ビワの種ががんに効く」という説があるようですが、これは危険な考えです。わかりやすく解説します。
Q. 「『ビワの種ががんに効く』という話を聞きました。病院の先生からすすめられた方法ではないですし、危険という話も聞いたことがあります。民間療法的なものなのかもしれませんが、少ない確率であれ、わずかでも効く可能性があるのなら、試してみたいです。」
A. ビワの種に含まれるアミグダリンは、体内で「青酸」に分解されるため危険!
「がんに効く」と噂されるビワの種に含まれる成分は「アミグダリン」という物質で、ビワ以外にもウメ、アンズ、モモなどの種にも含まれる青酸配糖体です。種が傷つくと、植物中の酵素によって分解され有毒な「青酸」を生じることから、植物が自己防衛のために用意した毒の一種であると考えられています。残念ながら、がんに対する効果は実証されていません。また、「がんに効くという説があるくらいだから、健康によいのだろう」と誤解されそうですが、私たちがビワの種に含まれるアミグダリンを食べた場合、腸内細菌の働きによっても青酸に分解されるので、非常に危険です。平成29年には、ビワの種を粉末にした食品から高濃度のアミグダリンが検出され、製品が回収される騒ぎがありました。海外ではアンズの種による死亡例が報告されています。
噂に振り回されて、危険なものをわざわざ口にしたり、正当な医療を避けて代替医療に走ったりして命を失うようなことになってしまったら本末転倒です。安易に「試しに」などと考えてはいけません。