人間関係

33歳男性「結婚して子どもを持つという選択肢は早々にはずした」。子どもなんて夢のまた夢…

少子化に関する話題があちこちから聞こえてくる。30代男女のリアルな声に耳を傾けると、結婚という選択肢を持てない現実があるようだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

少子化の話題がやまない。TBS『報道特集』では実際に30代の男女に話を聞いていたが、35歳のある男性が、物にたとえるのはよくないが……と言いつつ「僕的には子どもは嗜好品、贅沢品」と位置づけた。

聞いていてギョッとする言葉のチョイスではあるが、言わんとすることはよくわかる。まさにそうだと思った人も少なくないのではないだろうか。

30代、生きていくだけで精一杯

1
「僕も早々に結婚して子どもを持つという選択肢を自分の中からはずしました」

そう言うのは、タカトシさん(33歳)だ。大学を卒業して有名企業に就職したものの、人間関係でつまずき、半年の休職を経て会社を辞めたのが26歳のとき。

「打たれ弱いとか、みんな君のためになることなんだからとか、いろいろ言われました。確かに同じように叱咤激励されて、なにくそと頑張る同期もいた。僕も最初は頑張ろうと思った。でも僕には無理だった。そうなると、自分で自分に“ダメなヤツ”というレッテルを貼るしかない。やめるとき、『君には期待していたのに』と上司に言われました。期待に応えられない自分がなおダメなヤツに感じましたね」

人の心はそれぞれ。些細な一言で心折れてしまう人がいたとしても、それで「弱い人間」とは言えないはずだ。だが、当時、自分で貼ったレッテルは強烈だったのか、タカトシさんはそれ以降、仕事に就けなくなってしまう。

「ひとり暮らしでしたし、地方の実家には帰りたくない。親に心配かけたくなかったんです。休職しているときも焦っていましたが、会社を辞めてからはもっと焦燥感が募った。だからせめてアルバイトでもしなければと思うんだけど、体が動かない」

退職してから3カ月ほどたって、ようやく外に出られるようになった。学生時代の友人から連絡があったとき、なにげなく近況を伝えるとそこから仲間たちが助けてくれたのだという。

「休日に食料品を持ってきてくれたり、一緒に外に出ようと誘ってくれたり。学生時代の友人たちには本当の感謝しかありません」

なかでも当時から仲のよかったミエさんは、心から彼のことを気にかけてくれた。こんな状態で付き合おうとは言えないと告げたタカトシさんに対して、彼女は「私はあなたが好き。だから一緒にいたい」と言ってくれた。彼のアパートに泊まっていくこともあった。

その後、居酒屋のアルバイトを得たタカトシさんは、学生時代に経験があるだけに店に重宝され、自分でも接客が向いていると感じたという。

2年ほど経ち、大手企業が経営する飲食店に正社員として応募、内定したときにコロナ禍に陥り、内定は取り消しになった。

>内定取り消し、ミエさんからの連絡は……
  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます