ライフキャリア

「人生、なんとなくイマイチ」と感じるのはなぜ? 「お金」や「出世」がなくても幸せそうな人の共通点

人生の中で直面する選択。満足度の高い人生を歩む上で、何をどう決断していけば良いのか。今回は人生の満足度に直結するであろうライフキャリアにおける3つの選択(What、Who、Where)を事例を交えながら解説する。

小寺 良二

執筆者:小寺 良二

ライフキャリアガイド

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人生の満足度を上げるために考えるべき「3つのW」とは? ライフキャリア支援のプロが解説

人のライフキャリアを支援する仕事をしていて、時々明らかに人生の満足度が高そうな人がいる。年齢や性別もバラバラ、お金を持っていそうな人もいるし、経済的にはそこまで豊かではなさそうな人もいる。ただ共通しているのはみんななぜか幸せそうであることと、その幸せな状態に自分自身を導く人生の選択を自分自身でしていることだった。

人生の満足度が高い人たちがしている選択を整理すると下記の「3つのW」に分類される。
 

自分のやりたいこと(What)を見つけて選んでいる

1つ目のWは「自分自身のやりたいこと(What)」を見つけて、それを通じて収入を得たり、日々の生活のライフワークにしたりすることを選んでいることだ。

最も分かりやすいWhatは「職業」であろう。人生において「働くこと」に費やす時間は大きく、自分がやりたいと思える仕事と出会え、その仕事を通じて生活することができれば幸せだろうと誰もが思うはずだ。

筆者の知人に「ザーキー岡」という芸名でバルーンパフォーマーとして活動している友人がいる。彼は元々声優や俳優が志望だったが、ある時から芸人を目指すようになり、元々動物好きであったこともあって「アニマルバルーンパフォーマンス」というさまざまな動物の生態をバルーンで表現する芸を身につけて活動している。

ここ数年、コロナ禍でイベントやステージの仕事は激減。しばらくアルバイトなどで生計を立てていた時期は苦しそうな様子で相談にも乗っていたが、今月から某大手リゾートホテルでの仕事の依頼を受け、連日朝から晩までゲストにアニマルバルーンを作りまくっている。急に忙しくなり大変そうな様子ではあるが、やはり自分の好きなこと(What)で収入を得られている状況というのはとても幸せそうに見える。

逆に「好きなことをあえて仕事にしない」という選択もありえる。映画『釣りバカ日誌』の主人公ハマちゃんのように大好きな「釣り」という趣味(What)を持ち、平日の会社員としての仕事はそこまで充実しているようには見えない(?)が、安定企業で働き週末に大好きな釣りができるという状況は、日々の生活自体の満足度が高くなるだろう。

仕事であれ、趣味であれ、自分自身の好きなことや、やりたいことをやる選択をしている人は幸せそうに見える。
 

仕事や生活のパートナー(Who)を選んでいる

誰(Who)と仕事をやるか、日々の生活を過ごすか、というのも人生の満足度に大きく影響するだろう。エン・ジャパンの2022年度の調査によると退職した人の約3割が「職場の人間関係が原因」と答えている(※)。どんなに良い仕事に出会えたとしても、その仕事を誰とやるのかによって、仕事のパフォーマンスややりがいも変わってくるだろう。

好きなことや得意なことを仕事にできている代表格であるスポーツ選手にとっては、どの監督(Who)の元でその競技(What)をやるかはその選手のパフォーマンスに大きく影響する。先日のWBCで大活躍した大谷翔平選手は、プロになる際に野手と投手の二刀流を継続するかどうかで話題となった。結果的に当時の日本ハムの監督だった栗山英樹監督は、大谷選手の野手と投手の2つの才能を共に伸ばすことを決断し、それはその後のメジャーリーグでの大活躍にもつながった。大谷選手にとって日本ハムで、そして今回の日本代表で栗山監督(Who)の元で野球をするということは、大谷選手のパフォーマンスに大きな影響を与えたはずであろう。

仕事に限らず、人生のパートナー選びもまたライフキャリアでは重要な決断となる。『釣りバカ日誌』のハマちゃんがなぜ幸せそうに見えるのかは、釣りという大好きな趣味(What)ができているだけではなく、それに加えて釣りバカである夫を支える妻「みち子さん」という最愛のパートナー(Who)がいるからであろう。ハマちゃんを見ると究極的には仕事でそこまでパフォーマンスが高くなくても(稼げてなくても)、大好きな趣味(What)と最愛のパートナー(Who)がいれば、人は幸せなのではないかとも思えてくる。

そのくらい人生において誰(Who)と共に過ごすかという選択は大事なことだ。
 

どこに(Where)住むか、所属するかを選んでいる

自分に合う場所や組織(Where)を選択できるかどうかも人生の満足度に大きく影響するだろう。

以前、鹿児島の屋久島に旅行に行った際にその地域の移住者が集まる食事会に参加させてもらった。今まで旅行では他の観光客や同じく旅をしている人との関わりはあったが、その地域に移住を決断して実際に住んでいる人と対話できる機会は初めてだった。

率直な感想は「移住者たちはなぜか(地味に)幸せそう」ということだった。“(地味に)幸せ”という表現にしたのは、決して高級車に乗るような派手な幸せのイメージではなく、生活はそこまで豊かでなくても精神的に満たされている印象を受けたからだ。

その移住者たちの幸せの大きな要因は、全員「屋久島」という場所(Where)が大好きで、その大好きな場所に移り住む選択をして、その場所に住めているという状況に満足感を持っているからだった。

知人のバルーンパフォーマー・ザーキー岡さんも以前は東京で活動していたが、2022年に沖縄県石垣島に活動の拠点を移している。動物好きな彼にとってビルに囲まれた東京よりも、大自然がある石垣島(Where)に移り住み、そこでバルーンパフォーマンスという好きな仕事(What)をやりながら、時々森の中や海に入る生活ができていることも、彼が幸せそうに見える理由となっているだろう。

転職活動も所属する組織(Where)を変えるという選択の手段である。場所を変えることで必然的にそこにいる人(Who)も変わるので、人間関係の改善につながるかもしれない。しかし、細分化すると会社を変えなくても、所属する課や支店が変わることもWhere・Whoの変化になるので、人間関係の悩み=転職(会社を辞める)と一元的に考える必要はなく、柔軟に考えると良い。
 

3つのWを全て満たし切る必要はない

ライフキャリアを充実したものにする上で、3つのWとその選択の重要性を説いてきたが、3つのWの選択を支援する仕事をしている立場からすると、この3つを全て満たし切ろうとする必要はないとも感じる。

もしも自分のやりたい仕事(What)が見つかっただけでも十分幸せなことだし、自分に合う仲間(Who)や場所(Where)と巡り会えたならそれをまず大切にしてほしい。

『釣りバカ日誌』のハマちゃんは夢中になれる趣味(What)と最愛のパートナー(Who)の2つのWは満たされているが出世はしなさそう(仕事というWhatはやや弱め)、ザーキー岡さんはバルーンパフォーマンスという仕事(What)を石垣島(Where)でできているが、人生のパートナー(Who)探しはこれからである。ただ、2人とも十分幸せそうだ。

3つのWは全てを満たせば良いというものではなく、自分にとって最も大切なものがまず満たされていることが重要なのだろう。人生の満足度を高めるために、自分にとっての3つのWは何か、その優先度はどの順番か、今一度考えてみてはいかがだろうか。


>次ページ:石垣島に移住し、人生を楽しむザーキー岡さんの様子


<参考>
※:『エン転職』1万人アンケート(2022年10月)「本当の退職理由」実態調査(エン・ジャパン)
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