「最近、貯金だけだと危ない!という話を耳にしましたが、どうしてでしょうか。また、貯金がダメだとしたら、何をすれば安心なのでしょうか?」
今回は、この質問にお答えします。
貯金だけだと危ない理由
貯金だけだと危ない理由は「物価が上がる可能性が高いから」です。「貯金の価値が薄れる可能性が高い」と言い換えることもできます。モノ不足とカネ余り。インフレはこの2つによって起きます。
たとえば、景気がよくなるとモノの需要が高まり物価が上がります。ほかにも、戦争などで物流が滞って、モノの供給が減ることでも物価が上がります。2022年以降、ロシアのウクライナ侵攻により、後者のインフレが加速しました。今も、世界中で物価が上がっています。
ほかにも、金融緩和などで貨幣の供給が増えると物価が上がります。厳密には「物価が上がる」というより、「貨幣の価値が薄れる」といったほうが正しいかもしれません。2020年、新型コロナウイルスによる景気悪化への対策で、世界中が金融緩和を行いました。お金をばらまくことで、景気を下支えしたのです。この反動で、カネ余りが起き、2021年以降、世界中で物価が上がっています。
2023年3月現在、今もモノ不足とカネ余りは続いています。世界中がインフレで苦しむのは、この2つが原因です。
実は、筆者は2019年にも「貯金だけだと危ない」と訴えていました。残念ながら予想は当たり、2021年以降、貯金の価値は急速に目減りしています。
貯金がダメなら、資産運用どうする?
「貯金がダメなら、資産運用どうすればいいの?」と気になる方もいるでしょう。ここで思い出してほしいのは、「そもそも、どうして貯金が危ないのか?」というメカニズムです。
繰り返しですが、貯金が危ない理由は「モノ不足」と「カネ余り」が原因でインフレが起きるからです。立場が変わって、「モノ余り」と「カネ不足」が起きれば、逆に貯金は最高の避難場所になります。
つまり、「これから余るモノの価値は薄れる」「これから足りなくなるモノの価値は高まる」と言えます。よって、資産運用では「これから余りそうなモノをなるべく持たず、これから足りなくなりそうなモノを持つ」ようにすればよいです。
たとえば、2021年は「半導体不足」が起きました。このとき、半導体を作る会社に投資をしていれば、大きく利益を出すことができました。ほかにも、2022年は「エネルギー資源不足」が起きました。このときもまた、エネルギー資源を採掘している会社に投資をしていれば、大きく利益を出すことができました。
これからの投資先を考えるときは「余りそうなモノを持たない。代わりに、足りなくなりそうなモノを持つ」ことを考えるとよいでしょう。
たとえば、我が家の場合は「純金」や「エネルギー株」などを持っています(2023年3月時点)。
まず純金を持つ理由は、貨幣と違って自由に印刷できないからです。
ジャブジャブ刷ることができる貨幣と違って、純金の流通量には限りがあります。だからこそ、貨幣の供給量が増えて貨幣価値が薄れたとしても、純金の希少価値が薄れるリスクは低いと期待できます。「現金を持つよりはマシだろう」と考えて、純金を持っています。
次にエネルギー株を持つ理由は、エネルギー資源不足がこれからも続くだろうと考えているからです。
ロシアがウクライナを侵攻してから、世界経済はふたたび「東西分断」が進んでいます。新冷戦です。経済が分断すると、モノの供給が滞り、資源不足になりがちです。特に、エネルギー資源の多くは独裁国家が握っています。「資源の呪い」という言葉もありますが、天然資源に恵まれた国は権益をめぐる汚職が横行しやすく、独裁化・権威主義化しやすいという一説もあるくらいです。エネルギー資源の新規開発には時間がかかります。だからこそ、経済分裂が続くかぎり資源不足が止まらなさそうです。こちらも、「現金を持つよりはマシだろう」と考えて、エネルギー開発を行う株を持つことにしました。
まとめ
物価が上がると、貯金の価値が薄れます。インフレは「見えない税金」とも呼ばれており、損をしていることに気が付きにくいのが厄介です。2022年は世界中がインフレに襲われました。それもあり、日本でも「もしかしたら、貯金をしているだけだと危ないかも?」と不安な方も増えているでしょう。
大事なお金を減らしたくないなら、資産を運用する必要があります。資産運用では「これから余りそうなモノをなるべく持たず、これから足りなくなりそうなモノを持つ」ことを意識するのがよいでしょう。
もちろん、これは「足りなくなりそうなモノは、どんな値段でも買えばよい!」という話ではありません。投資先を選ぶときには、その投資先が割安であることも確認する必要があります。割安な株の見つけ方も執筆しました。本記事とあわせて、ぜひお役立てください。