亀山早苗の恋愛コラム

50代女性が敢えて選んだ「熟年離婚」以外の楽な生き方。「ゆる~い同居人」となった夫婦の現在

「熟年離婚」に踏み切る夫婦がいる一方で、夫婦のカタチを変えて柔軟に暮らす人もいる。「ゆる~い同居人」となった夫婦の楽な生き方について、50代女性に話を聞いた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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熟年になって、婚姻関係を維持しながら双方の同意のもと、別居する夫婦は増えている。一方で、別居となると経済的にも大変なので、話し合いながらだんだん「ゆる~い同居人」として暮らすようになったと語る夫婦もいる。
 

結婚20年、息苦しくなった「夫婦でいること」

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結婚して20年を越えたころから、「夫婦でいること、結婚していることがなんとなく息苦しい気がしてきたんですよ」と言うのは、マサヨさん(53歳)だ。彼女が社内の同期と結婚したのは28歳のとき。

「子どもふたりは今、24歳と21歳。長男は大学時代から家を離れていました。長女は大学生で同居していますが、大学に入ったころから自分のことはすべて自分でやるようになり、私は食事を作ることもありません」

コロナ禍で一時期、家族3人が顔をつきあわせていたこともあるが、マサヨさんはコワーキングスペースなどを借りて仕事をするようになり、娘もマイペースに学習。夫は仕方なく、ひとりで食事を作ったりしていた。

「その後、夫と私は出社するようになりましたが、もう『食事の支度もやめるわ』と宣言しました。夫は最初のうち、『一緒に食べよう』としつこかったんですが(笑)、今は月に1回程度、3人で食卓を囲む以外は、それぞれ勝手にやっています」

本当は家事などしたくないはずの夫だが、その前からやらざるを得ない事態に陥っていた。

4年前、ひとり暮らしだった夫の母が急逝した。その1年ほど前から夫はときどき実家に手伝いに通っていたのだ。掃除や料理も、必要に迫られてやるようになった。そして実家が空き家になったあと、夫は月に1、2回通うようになった。コロナ禍でも車でときどき行っていた。

「夫としては定年後、私と一緒に実家に越したかったらしいですが、『私は無理』、そう言ったら、ひとりで行くように。私はまだ両親が健在ですが、そろそろ父が弱ってきていますね。ただ、介護が必要になっても夫に協力を求めるつもりはありません」

お互いに割り切ってそうなったというわけではない。夫は母親が生きているころから、マサヨさんに一緒に行くことを強要しなかったから、マサヨさんも強要しないと決めているだけだ。夫にとって、妻の両親は、やはりどこまでいっても赤の他人なのだから。

「私も仕事がありますし、どうにもならなくなったら施設に入ってもらうしかないと思っています。無理して引き取ったりしたら、共倒れになりそうだから」

夫にはそのことを伝えてはいないが、マサヨさんは覚悟を決めている。

>ひとり暮らしのような不思議な「同居」?
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