夫がふと漏らした言葉から……
3人の子育てに奮闘しているヒナコさん(39歳)は、「今は」専業主婦。事情が許せば仕事を再開したいと思っているが、6歳、4歳、1歳の子を抱えていては仕事と家庭の両立はほぼ無理なのが現実だ。「3歳年上の夫も私も地方出身で、関東圏には親戚もいません。しかも夫はそろそろ転勤する可能性も高い。転勤したら5、6年は戻れないから、私が今、仕事を始めても、すぐにやめる可能性が高いんです」
今は子どもの世話と家事に追いまくられている。子どもはかわいいが、ときとして「怪獣みたいだ」と思うこともある。
「だけど専業主婦だから、もはや子育てが仕事だというくらい割り切るしかないなと思っています。あと数年経てば、今とは違う景色が見られるはず(笑)と自分を励ましながら日々、頑張っているところ」
それでも自分の小遣いくらいは自分でとも思い、学生時代から好きだったアクセサリーを作っては友人、知人に安く売っている。手作業が好きだから苦にはならない。
「夫には言ってませんけどね。月に2、3万になればラッキーという感じです。6歳の娘がほしがったので、お出かけのときだけねと指輪を作ってあげたら、とっても喜んで。かわいいですよね」
だがそれが夫の目に留まり、「どうしたの、それ」と。それに対して娘は「ママがくれたの」と応えた。
「そうしたら夫、こんな小さな子にこんなもの買うなんて無駄遣いだろって。事情もわからずに、いきなりそういうことを言うのはどうなんだろうと思わず言ってしまいました。『それは私が作ったの』と説明すると、振り上げた拳は下ろせないんでしょうかね、無駄遣いと言ったのと同じテンションのまま、『だからって元の材料にお金がかかってるだろ』って。『その材料は私のお金で買ってます』とこちらも切り口上になりました。
たかが数百円のことで、あんなふうに言われるなんて思ってもいなかった。しばらくしてから、『本当は、誰のおかげで食べられると思ってるんだって言いたいタイプなの?』と言ってみたら、『そんなこと言ったことないだろ』ですって。本当はそう思っているんでしょうね。夫も私も子どもが好きで3人もうけたのに、自分が稼いだお金で食べている人間がいることを快く思っていないのかもしれませんね」
100パーセント信頼していた夫への気持ちが揺らいだ。夫の転勤先が決まったら、すぐにでも現地で仕事を探したい。きちんとお金を得ることでしか、夫の意識を変えることはできないような気がすると、ヒナコさんはつぶやいた。
「友だちに愚痴ったら、『だったら3人の子育てをひとりでやってみろって夫に言ってやりなよ』と言われました。それで少しだけ励まされたけど、なんだかね……」
やるせない話だ。
>家族がベタベタいつも一緒の義実家がイヤ