亀山早苗の恋愛コラム

共働き、互いの仕事をリスペクトしていたはずが。妻の失業を「慰めながらマウントをとる」夫(2ページ目)

共働きで、互いの仕事をリスペクトしながら頑張ってきたつもりだった。それが、夫の不用意なひと言で「私を慰めながらマウントをとりたかっただけ」だと気づいた妻は……

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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貶めたいだけなのか

その後、彼女の夫への不信感は強まっていった。

「仕事をしながら勉強もしてきたので、とりあえずはフリーランスでコンサル的な仕事をしようと思い始めたんです。夫に今後、どうするのと聞かれたから、その話をしたら『そんな簡単にコンサルなんかになれるはずないじゃん。きみに騙される人間がいるとは思えないよ』って。騙されるってどういうこと、とまたケンカになって」

確かにコンサルタント業は多難だろう。だが彼女が考えていたのは、企画立案をする個人に向けた、ささやかな「仕事をする女性のための手助け」だ。それなら自分にもできるのではないかと考えた。実際、失業したあと、同業他社からうちで企画関係のアドバイスをしてくれないかと引きもあった。だがその会社への信頼がもてずに断らざるを得なかった。

紆余曲折を経て、彼女は知人の紹介で、ある企業に入社した。副業も可能なことから、抱いていたコンサル業もほそぼそと個人で始めようかと考えている。もちろん、夫にその話はしていない。

「こういうことがあると、ああ、これは夫には話さないほうがいいなと思うようになりました。前なら仕事の話もオープンにしていたんですが、もうしたくないですね。私が勤め始めたことで、夫はホッとしたようです。『やっぱり地に足をつけて働くのがいちばんいいと思うよ』とドヤ顔で言われました。結婚生活も長くなって、夫はいつしか私を下に見るようになっていた。それがわかったのがショックです」

なぜそうなったのかはわからない。夫の本心なのか妻の被害者意識なのかもわからない。ただ、夫婦関係はこうやって一度傷がつくと、そこから徐々に溝が広がっていく恐れがある。お互いに本音をさらして語り合うか、このままだましだまし年月を重ねるか。マホさんは今、まさに岐路に立たされているのかもしれない。
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