亀山早苗の恋愛コラム

これから恋をしたり結婚したりする女性へ、要観察。男性の心の奥に潜む「女性嫌悪」レベル(2ページ目)

「一度だけ夫の心の底を覗いてしまったような気になったことがあるんです」。明るくて優しい夫が心の底で抱えていた「女性嫌悪」のようなものについて40代女性が語った。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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母との距離感を修正できなかった夫

翌日、夫はワカコさんに謝罪してきた。酔って言わなくてもいいことを言ってしまった、と。

「それはいいけど、あなたの女性への歪んだ気持ちが少し気になると言いました。母親に複雑な感情を持っていることはわかった。でも母は母、他の女性までをも嫌悪するのは少し違うような気がするよ、と。心の底に女性への嫌悪感があるのではないか、それが息子たちに伝わるのが怖いとも言いました」

夫はそれ以来、自身の「女性への気持ち」を考えるようになった。夫には姉と妹がおり、仲良く育ってきたように見えたが、やはり育つ過程で「女性」に対して、いろいろな感情を抱いていたらしい。

「個人への感情と、異性全般への考えとは違いがあって当然だと私は思います。私自身、父への嫌悪感はあるけど、それが男性一般への嫌悪にはならないし。親子関係で葛藤を抱えていたのに、夫はそれを話そうとしなかったし考えようともしなかった。両親がともに社会的肩書きのある人だったから、余計に自分の気持ちを封印せざるを得なかったのかもしれません。そしてそうしている自分に夫は気づこうとしなかった」

ひとりの異性にひどい目にあったからといって、異性すべてを嫌悪するのはどこかおかしい。異性への嫌悪があると、親しい相手を個人として見る目も歪む。

「いろいろ考え、本を読み、夫は少し自分の気持ちに気づいたようです。母親を恨んではいない、むしろ自分は子どもの頃寂しかった、それを認めたくなかったとも言っていました。今さら聞いてもしかたがないけど、母親に自分が小さいときどう思っていたかとも聞いたんですって。そうしたら『あなたは寂しがり屋だったから、いつも後ろ髪を引かれる思いで仕事に出かけた』と言われ、母もそんな思いを抱えていたのかと改めて気づいたそう。コロナ禍前は私だってそう思いながら仕事に出かけていたし、それを夫は知っていたはずなのに、自分もそうやって育ったというところに至らなかったんですね」

人は他人のことなら客観的に考えられるのに、自分のことになるとつい客観性を忘れてしまうのかもしれない。

根っこの部分に女性嫌悪が潜んでいないか、どの程度で潜んでいるのか、そしてそれはどういう経緯でできあがったものなのか。これから恋をしたり結婚したりする女性たちは、そういう面も観察する必要があるのではないだろうか。

もちろん、逆に「男性嫌悪」に関しても注意が必要だ。異性は嫌悪しあうものではなく、違いを理解しながら協力していったほうが楽しい人生になるはずなのだから。
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