真の目的は何なのか?
「既婚者合コンに行く目的は何なの、結局、他の女性と知り合いたいということでしょ。知り合って仲良くなったら恋愛に発展しても不思議ではない。つまり積極的に浮気をしようとしているわけよねと言ったら、夫は『どうしてきみは、そうやってゲスの勘ぐりで物を言うんだ』とキレて……。キレるほうが怪しいでしょ」そのまま話し合いは中断、年末年始は子どもたちの手前、休戦状態となったが、仕事始め以降、夫とは冷たい関係が続いている。
「会社の同僚と飲みに行くとか、昔からの友だちと食事をするとか、そういうことなら何の疑いも抱きません。たとえそこで恋愛が始まってしまったとしても、最初からそれが目的ではないとわかっているから、許しはしないけど起こりうることなんだと理解はできる。でももともと合コンに行くというのは、相手探しをしているとしか思えないんですよ」
そもそもうっかり口を滑らせなければ、夫はそのことをサエコさんには言わなかったはず。もうそこで怪しさ満載じゃないですかと、彼女は口を尖らせた。
「今は上の子の受験も間近だし、あれこれ詮索している時間ももったいない。だからとりあえず何も言わずに流すけど、受験に差し支えるようなことはやめてよねとキツく言い渡しました。中学受験なんてしなくていいのにと、夫はいまだにグチグチ言っていますが、本人がその気になっているのだから受けさせるだけでもしなければ子どもの期待を裏切ることになるんだからねと怒鳴るしかなかった」
イライラするしモヤモヤするし、今年ははじめからいいことがないとサエコさんは愚痴った。
「一段落したら、夫に『私も行ってみる』と宣言して行ってみようかと思っています。夫がどういう反応を見せるか。結婚して初めて、頭の中に“離婚”という言葉が浮かんでいるんですよ……。今、実行に移す気はないけど、この先、ちょっと心に引っかかり続けるかもしれません」
とことん話して価値観を確認しあうか、見て見ぬふりをしながら時間を稼ぐか。サエコさんは「私たちの結婚が正念場に来ている気がする」と自分に言い聞かせるようにつぶやいた。