子育て

親の愛情の裏返しでも許されない…「わかっているのに叩いてしまった、怒鳴ってしまう」と悩む親へ

親の愛情の裏返しとはいえ、叩かれたことで子どもが傷つくのは否めません。あわや大きな事故になりそうな場面で、子どもを叩いてしまったという事例を取り上げて、このような難しい場面をどう捉えればいいのかアドバイスします。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

親の愛情の裏返しとはいえ、叩かれたことで子どもが傷つくのは否めません。

あわや大きな事故になりそうな場面で思わず子どもに手が出てしまったという事例を取り上げ、このような難しい場面をどう捉えたらいいのかアドバイスします。

「無事でよかった」という安堵の気持ちがありつつも、その瞬間の恐怖がまだ心に残っていて、感情のやりどころを子どもにぶつけてしまったという今回のようなケースですが、叩くことを防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか。

事例:ボールを取りに駐車場に走っていき、危うく事故になりそうに

駐車場に走っていってしまい、危うく事故になりそうに……

駐車場に走っていってしまい、危うく事故になりそうに……

■相談者プロフィール
・相談者:女性・専業主婦・沖縄県
・家族構成:夫(33歳)・本人(33歳)、長女(8歳)、次女(5歳)、三女(10カ月)

■相談内容:
長女は好奇心旺盛。考えるより先に行動する、活発なタイプです。子どもにはいつも、住んでいる団地の駐車場は車が出入りして危ないから絶対に近づかないようにと伝えています。しかしそれでもうちの子はお構いなし。

ある日、団地の敷地内で遊んでいたときのこと。友だちが駐車場の入口付近までボールを転がしてしまい、それを長女が取りに走っていったところへ車が走ってきたのです。幸いゆっくり周囲を確認しながら進んでいたため大丈夫でしたが、危うく事故になるところでした。しかし、無事であったにもかかわらず思わず感情的になってしまい、長女の体を強く引っ張り叩いてしまったのです。後になってとても後悔しました。

また、三女が生まれてからは、睡眠不足もあってイライラしてしまい、子どもを怒鳴ることが増えて自己嫌悪に陥る日々。親としての感情コントロールがとても難しいと感じています。
 

感情の高まりを別の形で消化できるような工夫を

危うく車の事故になったかもしれないという状況だったために、感情が揺さぶられて思わず手が出てしまったのでしょう。とっさのことだったとは思いますし、瞬間的に引き起こされた強い感情のやりどころがなかったのかもしれません。

ただ、どのような場面であっても、叩くことを避ける意志は必要です。叩いてしまったのはこの1回のようですが、3人目のお子さんが生まれてからは怒鳴ることが増えて自己嫌悪に陥りがちということなので、今後の対策として感情の高まりを“別の形で消化する”にはどうしたらいいか、という検討が必要です。
 
子どもが生まれてしばらくは過度な睡眠不足に陥るため、普通だったらやり過ごせることでもイライラしてしまいがちです。筆者の育児相談室でお受けする事例を見ても、体調が万全でないゆえの爆発の場合、やはりその部分を整えることが大事だと感じています。

つまりこの場面でいうなら、なんとか睡眠を確保する工夫を検討するということです。平日はお子さんと一緒に昼寝をしてしまう、週末はご主人に変わってもらうなどして体調を整えることにより、イライラの閾値を下げる効果はとても大きいため一考してみてください。
 

子どもの性格や年齢に合った「許容範囲」を定める

睡眠不足を見直してもイライラが変わらず、子どもを怒鳴ることが続いてしまう場合は、1回1回の出来事をなんとか終息させようという視点から一歩下がって考え、今の子育てを一段上から俯瞰して見直すという視点をもってみることが大切です。

ここでは例えば、そもそも今のしつけの方法でその子の気質や性格に合った導きができているか。子どもに“年齢不相応な期待”をしていないか。今のやり方を続けても、しつけとして教えたいことを伝えているようで伝わらないのではないか、などです。 

今回の事例では、車が出入りする団地の敷地内で遊んでいた際、入り口には行かないよう再三注意していたにもかかわらず言うことを聞かないということで、指示が上手く作用してくれなかったことがわかります。
 
筆者の育児相談室でよく見られるのは、「言ったらわかってくれる」と親が期待しすぎてしまうことが原因で、親子のもめごとにつながってしまうケースです。子どもは大人と比べるとまだまだそのときの気持ちに心を奪われがちなため、聞いたときにはわかっていたけれど、いざとなるとやりたい気持ちの方が優勢になってしまうということはよく起こり得ることです。

今回の事例でいうと、事故が起こりうるその場所で遊ぶこと自体が、実際には年齢相応以上の期待なのかもしれません。
 
他のことでもいえますが、子どもの性格や年齢に合った「許容範囲」を定めていくことにより、防げる怒りは多々あります。「いいよ」という範囲を広げすぎてしまっていることにより、怒りやイライラが増えてしまっているのかもしれないという視点は、今悩んでいる状況を改善する上でとても有用でしょう。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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