子育て

高額すぎると子どもの“金銭感覚”に悪影響!? 夫婦で金融教育の方針が違う場合は?【お年玉のお悩みQ&A】

親にとっては悩みの種でもあるお年玉。子どもに渡す金額、いくら貯金するべきなのか、など管理の考え方についてアドバイスしていきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

子どもたちにとっては、お正月の嬉しいイベントである「お年玉」。でも、親にとっては悩みの種だったりもします。

「お金持ちの親戚からもらうお年玉が高額すぎて困っています」「夫婦でお年玉の使い道の方針が違う場合は?」など、様々なご家庭のお悩みの声をご紹介しながらアドバイスしていきます。
 

Q1. 使っていいお年玉の金額が少ない!と友だちと比較してきます

わが家ではもらったお年玉の一部を子どもに渡し、それについては何に使ってもいいとしています。しかし、娘の友だちは全部使っていいようで、他の家庭の方針がうらやましいと比べてくるため困っています。子ども自身で管理するお年玉は、いくらが望ましいでしょうか。
(相談者:女性・京都府/家族構成:夫39歳、本人39歳、長女11歳、長男3歳)
 

お年玉をあげた側の気持ち×適正価格で考える

子どもがお年玉をいくら使っていいのかという“適正価格”については、正解がなくまた年齢などによっても変わってくるため、親にとっては悩ましいものです。

こちらのお友だちは全てを自分で管理しているということですが、学研教育総合研究所が2022年9月におこなった「小学生の日常生活・学習に関する調査」によれば、その用途として圧倒的に多いのは「貯金」です。よって、基本的には貯金派が多いものの、たまたまその子が珍しいケースなのかもしれません。しかし親としては、友だちがうらやましいと言われてしまうと、わが子にはどこまで渡すべきか余計に迷ってしまうのもよくわかります。
「小学生白書」 によるお年玉(金額・使い道)について/学研教育総合研究所2022年9月調査

2022年にもらったお年玉の主な使い道【小学生白書/学研教育総合研究所 2022年9月調査】

お年玉をあげた側の心理を考えれば、「何か意義あることに使ってもらえたら嬉しい」というのが本望でしょう。ですので、日頃あげているお小遣いの月額を基準にプラスアルファする、もしくは買いたいものがはっきりしていて、それが許容範囲内であれば、その価格を参考に金額を設定するというのが、この状況下での妥当な判断ではないかと思います。
 

Q2. 使うべき VS 貯めるべき、夫婦で意見が異なります

お年玉の管理の仕方について、夫婦で意見が異なります。私は、1万円程度であればせっかくなので使えばよいと思っています。しかし妻はクリスマスプレゼントをもらった後でもあるのに、また新たに何かを買う必要はないという考えで、全額銀行に預けようとするのです。

お金を使う練習も必要なので、何割かは手元においておいて、欲しい物を買ったりしてもよいのではないでしょうか。
(相談者:男性・兵庫県/家族構成:本人46歳、妻44歳、長女15歳、長男3歳)
 

あげる立場になって、どのように扱ってほしいかを考えてみる

奥さまからすれば、クリスマスプレゼントとしてすでに欲しいものを得られているのだから、という思いもあるのでしょう。クリスマスが終わって、わずか1週間でのお年玉。子どもたちが待ち望んでいる行事が立て続いてしまう感は、確かにありますね。ただ、世間一般でもっともよくあるパターンは、ご主人の意向のように、部分的に使い残りを貯めておくというものでしょう。

お年玉の管理の仕方についても正解がないため、夫婦間で意見の相違も起こりがちですが、こういうときは立場を変えて状況を捉え直してみると、また別の見方が浮かぶこともあります。つまりこの場合だと、自分たちがお年玉をあげたときに、相手にどう扱ってほしいのかという目線で考えてみるということです。それでもなお、姪っ子、甥っ子などにあげたお年玉を奥さまは全額貯金してほしいと思い、ご主人は部分使いしてほしいと思うのか。それとも自分があげたお年玉については、また別の見方をしているのか。もしそうであれば、違う考え方に“歩み寄る”というのも受け入れやすい方法だと思います。

いずれにしても、子どもにとってはいったん「使っていいよ」という年を設けたら、翌年からもそのやり方を切望するのは自然な流れです。“全貯金から部分使いへ”という流れのパターンはあっても、その逆は難しいでしょうから、夫婦間でしっかり話し合ってから決められるといいですね。
 

Q3. キャッシュレスの方が実用的だけど……

お金の大切さなどをきちんと教えた上で、お年玉は使ってほしいと思っています。そうは思いながらも、私たち親から渡すお年玉については、スマホやPayPayなどが普及していて便利な今、現金で渡すべきかどうかが悩ましくも思います。
(相談者:男性・兵庫県/家族構成:本人46歳、妻44歳、長女15歳、長男3歳)
 

お年玉の行方の多くが「貯金」ということを踏まえる

キャッシュレス化への懸念については、大人の普段の買い物では便利な一方、子どもにお金の大切さを教えたいという点では、マイナスに感じている親御さんも多いのではないでしょうか。支払いが簡単過ぎるゆえ、軽んじられてしまうのではという懸念です。ここ最近は、お年玉自体が電子マネーで渡されることもあるそうですね。

先ほども触れたように、お年玉の行先はほとんどが貯金です。それを踏まえると、これからさらにキャッシュレス化が進み、もし電子マネーでもらうお年玉が増えてしまったら、「貯金がしにくい」という悩みも大きくなるのではないでしょうか。電子マネーは小学校高学年くらいになれば管理できると思いますが、小さいうちは難しいでしょう。お年玉を使う場面では、現金で払い、おつりをもらう方が、残金が可視化されているのでわかりやすいといえます。
 

Q4. お金持ちの親戚からもらうお年玉が毎年“高額”で……

お金持ちである主人の親戚からのお年玉は、小学生は5000円、中学生は1万円などと毎年高額。年に一度のイベントですし、子どもにとって高額なお年玉は魅力的ですが、もらえる額が多いとそれが当たり前になってしまわないか心配です。

いりませんと突き返すわけにもいかないので、半分は貯金をさせるようにしています。もらえる相場よりも多いと、お金を楽にもらえると勘違いしてしまうのではないかと心配です。
(相談者:女性・広島県/家族構成:本人45歳、夫49歳、長男14歳、次男7歳)    
 

子どもと適正価格についてコミュニケーションを

先にご紹介した調査でも、もらっている額にはバラツキがあるのがわかります。小学1年生で総額5万円以上もらっている子が10%弱。およそ10人に1人の小学生が大きな額のお年玉をもらっていることになります。5万円以上と上限がないので、驚くほどの額をもらっている子もいるのかもしれません。
今年(2022年)のお正月にもらったお年玉の総額

2022年のお正月にもらったお年玉の総額【小学生白書/学研教育総合研究所 2022年9月調査】

お金を楽にもらえると思ってしまうのではという心配も、とてもよくわかります。子ども側からしたら、○○のおじちゃん、おばちゃんはたくさんくれる人、というような思いを抱いていることも十分考えられます。当然ながら、あげている側はよかれと思ってしてくださっているのですが、高額過ぎるお年玉は金銭感覚への影響も心配になりますね。

今はインターネットで年齢ごとの相場も簡単に調べられますし、あまり極端な額にしない方が賢明ですが、これはあげる側が自ら気付かないとできない行動のため、今やっているように部分的に貯金に回すのが現実的な対応といえます。おそらくは平均的な額をくださるご親戚もいると思いますので、それが普通であってたくさんくれるのは特別なことなんだよ、と伝えておくのもいいのではないでしょうか。
 

家庭の方針を“いったりきたり”させないという点がポイント

子どもにとっての一大イベントであるお年玉ですが、その使い道は親の悩みにもなりがちです。子どもの年齢やもらう額、そして家計の状況など、ご家庭ごとに違いがあるので対応も様々になるのは当然です。

一方、子ども側からすると、「去年はいいっていったのに、今年はダメといわれた」というような改悪バージョンは、納得しづらくなってしまいます。よって、親の対応を年によって“いったりきたり”させないという点は、どのご家庭においても共通するポイントでしょう。

【参考サイト】
学研教育総合研究所 小学生白書Web版「小学生の日常生活・学習に関する調査」(2022年9月調査)より
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