大村湾を一望できる千綿駅で小休止
その間に列車は大村駅、西九州新幹線との接続駅・新大村、新幹線の車庫がある大村車両基地駅を通り過ぎていく。松原駅を出たあたりから、大村湾に沿って走る。このあたりも絶景区間だ。そして、大村湾に面してホームがあることで知られる千綿駅で小休止する。停車時間は10分。 海をバックに記念写真を撮ったら、レトロな木造駅舎を通り抜け、駅前広場に行ってみよう。地元である東彼杵の新名物のくじら焼きを売っているからだ。これは、くじらの形をした鯛焼きで、そのぎ茶との相性が抜群というけれど、もちろんふつうのお茶と一緒に食べてもおいしい。駅前に停車しているCHANOKO号という移動販売車でくじら焼きを買っているうちに発車時間が迫ってきたので、食べるのは車内だ。結構ボリュームがあり、ひとつで充分かもしれない。
旅の終盤は車内イベントに参加
地元の人たちに見送られて千綿駅を出発。しばらく大村湾に沿った車窓を堪能したあと南風崎(はえのさき)で運転停車する。太平洋戦争終結後、戦地から引き揚げてきた人がこの駅から列車で全国に帰還したことで有名になった駅だ。川のようにも見える早岐瀬戸(きわめて狭い海峡)の対岸にヨーロッパ風の堂々たる建物が現れるとハウステンボス駅に停車する。もちろん、下車してハウステンボスに行くことも可能だ。 佐世保方面への分岐駅である早岐を過ぎる頃に2号車で車内体験のイベントがあるというので出かけてみた。波佐見焼の転写体験である。波佐見焼と言うのは、大村線、佐世保線、西九州新幹線で囲まれた内陸部に位置する波佐見町(長崎県)で産する陶磁器のことで近年富に人気が出てきた焼き物である。 用意された無地の焼き物に転写ステッカーから好みのイラストをいくつか選び、水に浸したキッチンペーパーの上に切り抜いておいたシールをのせ、紙だけ引きぬいて、透明なシール部分を焼き物の上に貼っていく作業だ。出来上がったものは、持ち帰り、飾り皿として活用できそうだ。夢中になっているうちに、列車は有田に停車し、終点の武雄温泉駅に向けてラストスパートしていた。
>次ページ:長旅は武雄温泉駅で幕