周りが私に気を遣っている?
「半年前、バツ2になったんですよ。とたんに周りが気を遣っているのがわかりました。職場でもバツ1の人にはツッコミを入れているのに、バツ2となると誰も触れない。友だちまで『あらー』と言うだけ。ツッコんでもらって全然かまわないんですけどね」笑いながらそう言うのは、イクコさん(41歳)だ。26歳で、高校時代の同級生と結婚し、1児をもうけたが30歳で離婚。33歳のときに5歳年上の男性と再婚した。子連れ同士の結婚は数年間はうまくいっていたが、夫の不倫が発覚して2度目の離婚となった。
「私が元夫の連れ子も引き取ったんです。元夫の子が『僕もイクちゃんと一緒に暮らしたい』と言ってくれたから。今は15歳になりました。私の娘は13歳。3人で暮らしています。元夫もときどき会いにきますね」
バツ2になったとき、姉に言われたのが「学ばないのね」という一言だった。最初の結婚と2度目の結婚とは状況も相手も違うのだから、「学ぶも学ばないもない」というのがイクコさんの意見。
「2度目だから離婚のハードルが低いんじゃないかとも言われましたね。でも、そもそも離婚をどう捉えるかにもよりますよね」
イクコさんは、離婚を否定的に考えていない。我慢して結婚を続けるより、相手を嫌いにならない程度のところで解消したほうが、のちのちいい関係になれるのではないかと思っているそう。
「最初の夫も、いまだに友だち付き合いをしています。娘の父親でもあるから、ちゃんと娘にも会っています。彼も再婚していて子どももいますが、今後の娘の学費についても考えていると思う。親の勝手で離婚して子どもにかわいそうな思いをさせているんじゃないかと普通は考えるのかもしれないけど、私は憎みあいながら一緒にいるくらいなら、さっさと別れて子どもへの愛情と責任をもっていてほしいと思ったんです。憎み合って別れると、子どもを父親に会わせたくないと思うかもしれないから」
とはいえ、「2度も離婚しちゃったなあ」と考えることもある。だが、自分に男性を見る目がないと責めることはない。そこがイクコさんの強いところだ。
何度離婚してもいい
結婚や離婚は個人の問題。何度離婚しようと、本人が納得していればいいことだ。「バツ2ってイメージが悪いかもしれないけど、人生100年時代に2回くらい離婚したってどうってことないというのが本音ですね。財産分与とかめんどうなことはたくさんあるけど、元配偶者への最低限の敬意と思いやりがあれば何とかなる。最低限の敬意と思いやりがあるなら離婚しなくてもいいじゃないかと親友にも言われましたが、私は最低限の敬意では結婚生活を続けていけなかった」
相手との信頼関係や愛情がどの程度なら結婚生活を続けていけるのか。それは個人差が大きいのかもしれない。
「確かに2度離婚していると、変な人とかかわいそうな人とか思われるのかもしれません。でも少なくとも私は自分の選択で生きているので、憐れまれるのは嫌ですね」
離婚イコール不幸だと思う人が多いために、そういう解釈になるのだろう。離婚は今後の人生へのスタートだと感じている人が増えれば、ネガティブなイメージはなくなるのかもしれない。
「母方の親戚に4回目の結婚をした女性がいるんです。つまり3回離婚している。そのときはみんな、やはりあの人は学ばないとか何を考えているんだとか、けっこう言いたい放題でしたね。でも私はそのおばさんが好きなんですよ。小さいときから『自分が思うように生きていけばいいの。人生、1回こっきりだからね』と言ってくれてた。バツが増えても、別に自分がダメダメな人生を送っているわけじゃありませんから」
彼女はそう言ってまた明るい笑顔を見せた。彼女が真顔になったのは、「人からかわいそうだと言われたくない」ときっぱり言ったときだけだ。
自分の人生を選択するのは自分。結婚を続けるのも離婚を決意するのも自分自身だ。周りがとやかく言ったり、憐れんだりするのはお門違いというもの。
「もう結婚はしたくないとも思っていないんですよ。結婚って勢いとタイミングみたいなものなので、またするかもしれないし、その後離婚するかもしれないし。いろんなことがあるから人生楽しいと思いたいですね」
何度も離婚する人は人間的に問題があると、イクコさんは姉に言われたという。杓子定規でレールから外れた生き方はしたくない姉ならではの意見だから、「傷つきはしないけど、放っておいてくれと言いたい」とイクコさんは笑った。