別居婚といえば、壇蜜さんと清野とおるさん夫妻、misonoさん、菊池桃子さん、そして北斗晶さんの息子夫婦なども名前があがる。
それぞれの仕事があるため、それぞれに夢を叶えるため、ひとりの時間が必要だからなど別居婚には、カップルの数だけ事情やメリットがある。 夫婦関係が煮詰まり、別居したことで円満になったダイアモンド☆ユカイさんの例は、結婚して長い年月がたった夫婦には参考になるかもしれない。
一方で、同居しないことによるデメリットもあるだろう。
快適だけど経済的には大変
5年前の結婚当初から別居状態が続いているというのは、マリさん(39歳)だ。「つきあって2年ほどたったころ、結婚しようかどうしようかという話になりました。私は家で仕事をしていることもあって、ひとり暮らしを望んでいた。夫もひとりの時間がほしいというタイプなので、結婚式や披露宴はせず、婚姻届だけ提出しました。当時は電車を乗り継いで1時間程度のところに離れて住んでいて、お互いに時間の都合がつくときにどちらかの部屋に行くというパターンでした。寂しいなと思ってもすぐに会えるわけではないし、でも仕事が忙しいときはひとりでよかったと思うこともあるし……。少し揺れていましたね」
だがその後、妊娠。夫はすぐに「同じマンションに住もう」と言い出した。それでも「同居」とならなかったのは、やはりお互いの「ひとりの自由」を確保するためだった。
「引っ越して同じマンションの隣同士になりました。つわりがきついときは夫はずっと私の部屋にいてくれたし、ひとりで眠りたいときは放っておいてくれたし」
出産後もお互いの部屋を行き来しながら、一緒に子育てをしている。今日は仕事が忙しいといえば、夫は夜、子どもを自分の部屋に連れ帰る。
「いっそ広い部屋を借りて一緒に住めばいいのにと周りからは言われます。でも、やはりそれぞれが世帯主になっていることで、私たちは安心感をもつタイプみたい。人に理解されたいとは思わないけど、こういうタイプもいるんですよね」
ただ、経済的には大変だ。電気やガスも、それぞれ基本料金がかかるし、一緒になったほうが絶対に安くすむのはわかっている。
「いけるところまではこの状態でいこうと決めています。子どもが大きくなったとき、どうするかはまたそのときに決めればいいかな、と」
ひとりで暮らすことが重要。そう考えるふたりもいるのだ。
遠距離結婚は会うだけで一苦労
東京と関西に別れて住んだまま結婚したのはユリさん(40歳)だ。別居婚はすでに10年を越えた。「うちは子どもがいないんです。もたないと決めたわけではなく、できなかっただけ。一時期は不妊治療も考えましたが、話し合ってしないことにしました」
もともとの拠点がユリさんは東京、彼は関西だった。関西で家業を継いでいる彼は、東京で暮らすことはできない。彼女もまた、関西ではできない仕事に就いている。
「彼は月に1度は出張で東京の営業所に来るので、そのときは私のところで数日間、一緒に過ごします。お互いに相談があるとき、旅行をしたいときなどは予定をやりくりして会うこともあります。あとはテレビ電話などで顔を見ながら話せるから、特に寂しいとは思わないけど、行ったり来たりは大変だなと思うことはあります」
特に夫が出張で来たものの多忙で、ふたりの時間がゆっくりとれないときは、「なんだか忘れ物をしてきたような落ち着かない気分」になるという。
「夫婦は一緒にいるべき、あなたのところは家庭とは言わないと友人に言われたことがあって、それはちょっとショックでした。友人であっても他人はそう見るのか、と。夫の両親も本音は私が仕事を辞めてくるべきだと思っているでしょうね。うちの両親だって『大丈夫なの?』と10年たった今でも心配していますからね。それは申し訳ないような気もするんですが、仕事は私にとっても人生の大事なピース。そう簡単には手放せません」
ふたりがわかりあっていればいいと思いながらも、ときどき他人に言われる言葉で、このままでいいのかと考え込むこともあるとユリさんは言う。
「もうひとつは離れていることで、彼は浮気しやすいねと言われがちなこと。そんなことを他人に言われる筋合いはないんですが、やはり心揺れることもありますね。夫は『人は勝手なことを言うものなんだよ、オレたちがよければいいじゃないか』と泰然としています。私はなかなかそこまで堂々とできない(笑)」
他者から何を言われても堂々と生きていくのは理想だが、人はどうしても「世間から見たらどう思われるだろう」と気になってしまうもの。それでもふたりの意見が一致しているから、自分たちの選択した道を信じていきたいとユリさんは言った。