床材は毎日触れる場所だから、心地よさを大切に
内装部材には、たくさんの種類があります。それぞれの部材について、住友林業クレストが大事にしているポイントや工夫などを紹介していただきましょう。
【床】
「以前は、天然木の床といえば無垢(むく)というイメージもありました。今は時代の流れにともなって、木の質感はそのままに、床暖房対応など機能的な要素も備えた挽板フロア(※)も増えています」
※挽板(ひきいた)フロア:2~3mmの厚みに切り出した表面材を使用した床材。無垢材に近い質感でありながら、無垢材に比べ、リーズナブルな価格であり、伸縮や反りなどが発生しにくいメリットがある。
木の豊かな表情を活かしながら、床暖房にも対応した床材
住む環境に合わせて木材の水分量を調整
「床材の欠点は、木が反ったり割れたりすること。それを防ぐには木材の乾燥工程がとても重要で、丸太から製材されたものを数ヶ月という時間をかけて自然乾燥させ、木材の中にある、曲がろうとする応力を抜きます。次に、機械的に温度と湿度を加えながら、ジワジワと木材の水分量を減らしていきます。長年蓄積された経験によるノウハウが必要で、一番気を遣うところですね。加工後にもさらにひと手間かけて、日本の気候に合うように空調設備で調湿します。品質を保つために、過酷な条件を再現した機械でダメージチェックも行っています」
アール加工で心地よさを演出
「床材の接合部はアール加工を施しています。アール加工とは丸みのある加工のことで、一般的な床材にはこのアールはありません。加工に大変な手間がかかるからです。それでもこの加工にこだわることで、足触りがよく、天然木の質感を楽しめる床になります」
質感のよさが際立つアール加工が施された床材
美しい塗装のための工夫
「床材の仕上がりを決めるのは塗装です。美しい塗装のためには、木の下地を整える研磨などの 技術が重要になります。また、木は同じ樹種であっても色が異なり、例えばオーク材 なら黄色や赤・黒・白など色や濃淡もさまざま。木の個性に合わせて、色味がバラつかないように塗装工程で調整しています」
自然な印象を与える設計
「一般的な床材は1尺X6尺(303㎜×1818㎜)サイズになっていますが、住友林業クレストの床材は一本一本が独立しているため、部屋全体を見たときに規則性を感じることなく、自然な印象を与えてくれます。施工にとても手間がかかりますが、住まう方にとって安らぎのある空間を作る為の手間でもある、と考えています」
工夫が随所にちりばめられている
床材の貼り方にもこだわり
「床材はあえて目地(隙間・継ぎ目)を規則的に揃えない『尺ずらし』という貼り方に。木目の質感が感じられ、ナチュラルな雰囲気を楽しめます。銘木のポテンシャルを最大限に活かすため、施工する職人さんにも貼り方を指導しています」
お客様からは「住友林業の住宅展示場に初めて入ったとき、今まで見てきたものと何かが違う!?と感じた」とおっしゃっていただいたこともあるとか。細かい手間を何度も重ねて、品質と、デザイン性の高さを実現している成果が感じられます。
トレンドや環境も意識し、部材で統一感の取れた空間を演出
【壁】
「壁材は、通常の製材品のほかに、床材を製造するときに生じた端材を材料として活用しています。銘木を余すところなく有効活用することで、持続可能な取り組みになるだけでなく、商品的にも高い評価をいただいています」
デザイン
「端材の大きさや表情はさまざまなので、うまく組み合わせてデザインするバランスが面白くもあり、難しいポイントでもあります。木の色が変わっているところは手作業で色を塗るなど、床材よりも手間をかけることも」
こうして製造されたオリジナルの壁材は、個性あるインテリアとして非常に人気が高く、落ち着きのある上質な空間を演出し、「住友林業の家」らしさを表現しています。
木質感とデザイン性の高い壁は、これぞ住友林業の家というイメージ
【天井】
「国産材を使ったジャパニーズオークリブシーリングは、人気の天井材です。表面に使う天然木は、薄く削った『突板』という形状にして、下地に貼り付けています。風合いがよく、多くの方からご支持をいただいています。
私たちが製造する室内の天井材と、室外の天井部分(軒天)を組み合わせ、屋内外がつながっているような一体感を演出します。住友林業のBF(ビッ グフレーム)構法による広い開口部と天井の演出効果で、より空間のゆとりを感じられるでしょう」
国産材の表情を活かした天井は、室外とつながっているような空間を演出
【ドア・引き戸】
「天井まで届く240cmの高さのドアや引き戸を製造しています。単に部屋の間仕切としての機能にとどまらず、シンプルモダンかつ上質な木質空間を演出するアイテムとなっています」
反りを解消する秘訣
「住宅の一般的なドアや引戸は高さ200cm程度のものが多いですが、一般的には背が高くなるほどに木は反りやすくなってしまいます。私たちは素材を厳選し、構成するパーツや製造工程に工夫を施し、さらに温度差を再現する試験装置で過酷なテストを何度も繰り返し検証することで、この問題を解決しました」
ドアや引戸には天然木のほかに、木目を印刷したシートも使いますが、いずれも床や壁の木材とコーディネートできるバリエーションを揃えているのもうれしいポイントです。
天井まで伸びるハイスタイルのドア
住む人とともに成長し、味わいが増す「PRIME WOOD」
選び抜かれた銘木を使い、住友林業クレストのこだわりや工夫が込められた空間は”経年美化”を楽しむことができます。
「優れた技術で加工された良質な木材を使用した家は、受け渡し時が美しさのピークではなく、 年を経るほどに味わいや深みが増していくものです。住友林業の『PRIME WOOD』は、そこに住む人と一緒にずっと成長していくことでしょう。
木は生きているものですから、商品開発時には苦労をすることは多いです。でも失敗から学び、妥協せず にこだわって生まれた内装部材は、お客様とともにストーリーを紡いでいきます。それが最大のやりがいであり、魅力であると私たちは思っています」
妥協のない家づくりが、住む人の満足感につながる
心地よい手触りの木材に囲まれて日常を愉しみ、いつまでも住みやすい家はまさに理想。家そのものと部材の製造をグループ内で行っているからこそ、イメージの統一感や品質の安定などさまざまなメリットも生まれます。
何年経っても建ててよかった! と思える家に巡り合うために、ぜひ一度「PRIME WOOD」を体験してみませんか?
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